日本では空き家の増加が深刻な社会問題となっています。
なかでも、長期的に放置されて傷みが激しく、景観や衛生面で悪影響を生み出す空き家は「特定空き家」に指定され、所有者には重い罰則が与えられることがあります。
この記事では、特定空き家を誰がどんな基準で決めるのかについてや、空き家の所有者がすべきことを解説します。ぜひ参考にしてください。
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特定空き家かどうかは誰が決める?
空き家が「特定空き家」に該当するかどうかを判断するのは、各市区町村の自治体です。
現在、全国の8割以上の自治体が「空家等対策計画」を策定しており、この計画には以下のような事項が含まれています。
- 空き家の調査方法
- 空き家や空き家の跡地の活用促進
- 特定空き家の指定基準および措置方法
- 住民からの相談・通報への対応方法
自治体内の関連部署(例: 空き家対策部署や環境保全課)は、この計画に基づきエリア内の空き家の実態を調査・把握します。
その過程で、住民から寄せられた情報や自治体による現地調査の結果をもとに、問題のある空き家を「特定空き家」に指定します。
特定空き家の規定はいつからできた?
特定空き家に関する規定は、2015年5月26日に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づいています。
この法律は、日本国内で増加する空き家問題に対処するために制定されました。
さらに、2023年12月23日には法律の一部が改正され、新たに「管理不全空き家」という区分が追加されました。
管理不全空き家に指定されると、特定空き家と同様に重い罰則が適用されます。
特定空き家は通報される?通報件数は多い?
自治体が空き家の調査を行うきっかけの一つは、周辺住民からの苦情や通報です。
問題となる空き家は近隣住民に悪影響を与えることが多く、自治体にはさまざまな問い合わせが寄せられています。
たとえば、東大阪市では、2018年から2021年の間に1,437件の空き家に関する通報や相談がありました。
これは、ほぼ1日に1件ペースで問い合わせが寄せられている計算です。
空き家を「使う予定がないから」と放置していると、近隣住民に迷惑をかけたり、通報されるリスクが高まる可能性があります。
こうした状況を防ぐためにも、空き家の適切な管理が重要です。
(参考:空き家等対策計画(PDF)|東大阪市)
特定空き家に指定されるかどうかの判断基準
自治体が特定空き家を指定する際の判断基準は以下のとおりです。
- 倒壊などの危険性
- 衛生面での問題
- 景観を著しく損ねている
- 地域の生活環境を害している
特定空き家の判断基準①:倒壊などの危険性
建物がそのまま放置されることで、倒壊など著しく保安上の危険を及ぼす恐れがある状態が該当します。
具体例としては、建物の傾きや、構造的な損傷が確認されたりする場合が挙げられます。
特定空き家の判断基準②:衛生面での問題
建物が放置されることで、著しく衛生上有害となる恐れがある状態が該当します。
具体的には、不法投棄されたごみにより悪臭や害虫が発生する場合や、排水管の破損によって下水処理が適切に行われず悪臭を放つ場合などがこれに該当します。
特定空き家の判断基準③:景観を著しく損ねている
適切な管理が行われていないために、著しく景観を損ねている状態が該当します。
具体的には、以下のような状態を指します。
- ツタや草が生い茂り、家を覆っている
- 外壁が剥がれている、または看板が破損している
- 外から見える場所にごみが放置されている
- 屋根や壁に落書きがあり、外観が汚れている
このように、周辺の景観との調和を乱す物件は特定空き家に指定されやすくなります。
特定空き家の判断基準④:地域の生活環境を害している
上記の3つの基準には該当しない場合でも、近隣住民の快適な生活環境を損なう空き家は特定空き家に指定される可能性があります。
具体的には、以下のような状態を指します。
- 庭木が敷地外に伸びて進出し、通行を妨げている
- 動物が住み着き、周囲に悪影響を及ぼしている
- 窓ガラスや外壁が損傷し、容易に不法侵入できる状態で放置されている
このようなケースでは、空き家が地域全体の生活環境に悪影響を与えるとして、特定空き家に指定される可能性があります。
特定空き家に指定されるまでの流れ
特定空き家に指定されるまでの流れは以下のとおりです。次の見出しから1つずつ解説します。
- STEP1通報や行政の巡回で問題のある空き家を把握
- STEP2現地調査の実施
- STEP3特定空き家の基準に照会
- STEP4所有者への通知と指導
- STEP5特定空き家として指定
特定空き家指定までの流れ①:通報や行政の巡回で問題のある空き家を把握
自治体は、業務中の巡回調査や近隣住民からの相談・通報を通じて、エリア内の空き家に関する情報を収集し、その状況を把握します。
とくに、管理状態が悪く、近隣住民に悪影響を及ぼす可能性がある空き家が見つかった場合、詳細な調査が必要と判断されます。
特定空き家指定までの流れ②:現地調査の実施
自治体は、収集した空き家情報をもとに現地調査を行います。
この調査では、調査対象の空き家の保存状態や周囲への影響を詳しく確認します。
特定空き家指定までの流れ③:特定空き家の基準に照会
現地調査の結果をもとに、対象の空き家が特定空き家の基準に該当するかどうか検討されます。
特定空き家指定までの流れ④:所有者への通知と指導
特定空き家として指定される可能性が高い場合、自治体は空き家の所有者に対して通知を行います。
この通知には、現状の問題点や改善策などの指導が含まれています。
特定空き家指定までの流れ⑤:特定空き家として指定
空き家の所有者に通知や指導を行っても改善が見られず、問題が解決されない場合、その空き家は「特定空き家」に指定されます。
特定空き家に指定されると、翌年度から固定資産税が最大6倍に引き上げられます(※都市計画法の特例により課税標準が変更されるため)。
さらに、空き家の状態がその後も改善されない場合、自治体は罰金の科罰や行政代執行といった措置を取る権限を有します。
※行政代執行:自治体が空き家の解体や必要な措置を、所有者の許可なく実行できる権利
特定空き家の認定通知がきてからの対処はおすすめできない
「すぐには特定空き家に指定されないだろうから、通知が来てから対処すればいい」と考えるのは、大きなリスクを伴うため避けましょう。
適切な手入れをしないと、空き家は急速に劣化します。さらに、定期的な点検を怠ると、地震や台風などの自然災害が発生した際、窓ガラスの破損や屋根の損壊などに気づかず、被害が拡大する恐れがあります。
相続などで空き家の所有者になった場合は、定期的な管理を行いながら、売却・賃貸・保存といった方向性を早めに決めることをおすすめします。
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特定空き家は誰が決める?:まとめ
本記事のまとめです。
- 特定空き家かどうかを決定するのは、市区町村の自治体です。
住民からの相談や通報がきっかけで、空き家が調査対象になるケースも多く見られます。 - 特定空き家に指定される基準は、倒壊の危険性、衛生面や景観への悪影響、そして住民の生活への影響が考慮されます。
- 状態の悪い空き家については、まず自治体から通知や指導が行われます。
それでも改善されない場合に特定空き家として指定されます。 - 空き家は手入れを怠ると急速に劣化します。
自治体から注意喚起されてから対応するのではなく、迅速な対策を心がけましょう。
特定空き家を指定するのは、市区町村の自治体です。
場合によっては、法的措置によって問題を解決することもあります。
そうならないためには、空き家を適切に管理し、早めに売却や賃貸などの方向性を決めて行動することが重要です。