親の家を相続することになったら、まずは「この先、家をどうするか」を考えましょう。
「誰が相続するか」に焦点が行きがちですが、家に住む・貸す・売るなどの方向性によって、手続きや注意点が異なります。
本記事では、親の家を相続した後の選択肢・相続に関する手続き・利用できる税制や注意点について解説しますので、ぜひ参考にしてください。
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親の家(実家)を相続した後の選択肢
実家を有効活用するためには、いくつかの選択肢があることを知っておきましょう。
誰も住まなくなった実家を放置しておくと、建物の劣化が進み、固定資産税などの費用もかかり続けるため、まずは家を将来的にどうするか決めましょう。
選択肢1. 自分や親族が住む
愛着のある家で生活できるほか、住む人がいると家の劣化を防ぐことができます。
注意点は、相続人が複数いる場合は、実家を引き継いだ相続人とそうでない相続人で遺産の取り分に不公平感が出ないよう、よく話し合って了承を得る必要があることです。
選択肢2. 解体した後、活用する
家を解体した後、アパートや駐車場などを建設して活用する方法です。
解体費用や建設費を支払う余裕があり、かつ親の家があった土地の場所が利便性が高くて採算が見込める場合は有効な方法の1つです。
選択肢3. 賃貸に出す
家賃収入が得られるほか、人が住むことで家の劣化を抑えられます。
入居者を探す手間や管理費用がかかるため、家の状態が良好で立地的にも市場価値がある場合は有効な方法です。
選択肢4. 相続放棄
親の家の老朽化が進んで相続後に困りそうな場合や、親が負債などマイナス資産を抱えていた場合は、相続放棄を検討しましょう。
相続放棄をすることで、家の管理責任から解放されますし、借金などを引き継がなくて済みます。
実家を所有できなくなるためよく考えたいところですが、相続放棄の手続きの期限は相続の発生を知った日から3カ月です。
そのため、早めに相続人どうしで話し合って方向性を決めましょう。
選択肢5. 売却する
以下のようなケースでは、親の家の売却を検討すべきでしょう。
- すべての相続人が自ら所有する意思がない場合
- おもな相続財産が家しかなく、公平な遺産分割が難しい場合
- 将来的に誰かが住む予定も活用する予定も無い場合
使う予定が無いまま放置していても、固定資産税・管理費用・火災保険(加入する場合)などの支払いが発生し、合わせて年間10万円以上かかることも珍しくないでしょう。
思い入れのある家を手放す判断は簡単ではありませんが、使う予定が無い場合は早めに売却すべきといえます。
実際、家を保存するか手放すかどっちがいい?
どの方法が良いかは、相続人の意思や、他の相続遺産の状況などによります。
ただし、以下の判断基準に該当する場合は、手放す方法を模索すべきです。
- すべての相続人が、家を所有し続ける意思がない場合
- 親の遺産を調査した結果、マイナス資産の方が多かった場合(相続放棄)
- 家を売却して現金化しないと、公平な遺産分割が難しい場合
親の家(実家)を相続する手続き
親の家の相続手続きは、普段なじみのないものが多いですが、1つずつ落ち着いて進めていきましょう。
いくつかの手続きは、相続の発生を知った日から一定期間内におこなう必要があるため、早めに動き出しましょう。
財産の調査と遺言書の確認
まず、親がどのような財産を残したのかを調査します。
実家だけでなく、預貯金・有価証券・不動産なども含めて、全ての財産を把握することが大切です。
遺言書やエンディングノートがあるかどうかも確認しましょう。
遺言書は正式な手続きを踏まないと法的な効力が無いため、自筆の遺言書がある場合はすぐに家庭裁判所へ提出しましょう。
エンディングノートは法的な効力はありませんが、親の意向を確認できる可能性があります。
とくに上記のような書面がない場合は、相続人全員で話し合い、遺産の分け方を決めることになります。

そもそも相続するか・財産をどう分けるかを判断するためには、まずは財産の内訳を把握することが重要やで。
相続放棄・限定承認(3カ月以内)
親の財産を調査し、借金などマイナスの財産が多い場合は、相続放棄や限定承認を検討しましょう。
- 相続放棄
プラスの財産もマイナスの財産も、一切引き継がない。 - 限定承認
プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を一部だけ引き継ぐ。
これらは原則として、相続開始を知ったときから3カ月以内に家庭裁判所に申し立てる必要があります。
3カ月の期限を過ぎると、原則として相続放棄・限定承認ができなくなり、すべての財産を相続することになるため注意が必要です。

親御さんが亡くなって大変な時期やけど、3カ月しか期限がないから早めの準備が必要になるで。
手続きも難しいから、弁護士・司法書士への相談も考えてな。
相続税の申告と納付(10カ月以内)
相続税は、相続した財産の金額に応じて課税される税金です。
相続税の申告と納付は、相続開始を知ったときから10カ月以内に行う必要があります。
ただし、亡くなった人の財産が【3,000万円 + 法定相続人の数 × 600万円】の範囲内であれば、相続税はかかりません。
相続税がかかるのか、申告の必要性があるかどうかが不安な場合は、税理士に相談することをおすすめします。
名義変更(3年以内)
実家の名義を、被相続人(亡くなった親)から相続人に変更する手続きを相続登記といいます。
親の家を相続することが決まったら、まず相続登記をしないと、実家の売却・賃貸などが自由におこなえません。
また、相続登記は2024年4月から義務化されており、3年以内に手続きをしないと10万円以内の過料が発生する可能性があります。
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親の家の相続でかかる税金
親の家を相続する際にかかる主な税金について、わかりやすく解説していきます。
相続税
相続税は、相続した財産の総額から、基礎控除額などを差し引いた金額に対して課税されます。
先述したように、基礎控除額は【3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数】で計算されます。
この時、相続財産の総額が4,800万円以下の場合は、相続税はかかりません。
財産の計算は、金融商品は時価で計算・土地は路線価または固定資産税評価額で計算……といったように複雑です。不安な場合は税理士など専門家へ相談しましょう。
登録免許税
登録免許税とは、不動産の所有権を移転する際にかかる税金のことです。
相続登記を行う際【不動産の固定資産税評価額 × 税率0.4%】で計算されます。
実家の相続で知っておくべき税制
実家を相続する際には、いくつかの税制優遇措置があります。
小規模宅地等の特例
小規模宅地等の特例とは、相続した宅地等の評価額を最大80%下げることで、相続税を減額できる制度です。
この特例は、被相続人(亡くなった親)の自宅の敷地や、事業に使っていた土地などを相続した場合に適用されます。
ただし、この特例を受けるためには「親が亡くなった後も相続人がその家に住み続ける」など、一定の要件を満たす必要があります。
空き家の3,000万円特別控除の特例
被相続人が亡くなり空き家になった住宅を相続・売却する場合、売却利益から3,000万円を特別控除できる所得税の制度です。
おもな要件は以下のとおりです。
- 1981年5月31日より前に建築されていること
- 区分所有建物登記がされている建物(マンション・アパートのように、各部屋と建物自体の所有権が別の状態)でないこと
- 故人が亡くなった時点で1人暮らしであったこと
上記以外にも諸条件あるため、制度を利用したい場合は税理士へ相談してみましょう。
(参考:被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例|国税庁)
相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
親の家の相続が発生してから3年10カ月以内に売却(譲渡)する場合、譲渡所得税を節税できる制度です。
通常、不動産を売却すると【売却代金 – 取得費 – 手数料】で計算される「譲渡益」に対して譲渡所得税がかかります。
この特例を使うことで、相続税額の一部を取得費に加算できます。これにより譲渡益を減らせるため、譲渡所得税が節税できます。
(参考:相続財産を譲渡した場合の取得費の特例|国税庁)

専門用語とかあって難しいけど、収入から経費を引いて、課税される金額を減らして節税するのにイメージは近いかも。
実家を相続する際の注意点
実家を相続する際の注意点を知っておくことで、後々のトラブルを避けることができます。
相続財産が実家以外に無い場合のトラブルに注意
相続財産が実家しかない場合、相続人の間で以下のようなトラブルが発生する可能性があります。
- 誰が実家に住むのか
- 実家を売却する場合、どのように代金を分けるのか
- 修繕費や固定資産税などの費用を誰が負担するのか
相続人どうしが納得していれば問題ないですが、不公平感を感じている相続人から抗議があった場合、実家を相続した相続人が他の相続人に代償金を支払うことで精算する「代償分割」という方法もあります。
空き家のまま放置はリスクが大きい
空き家を放置しておくと、下記のようにさまざまなリスクが生じます。
- 家の傷みが想像以上に早い
- 普段から管理されていない空き家は防犯上の問題が発生する
- 電気配線の劣化や放火による火災リスクがある他、古い家を放置すると倒壊のリスクが高まる
- 所有している限り、固定資産税や管理費用などがかかり続ける
また、周辺環境にも悪影響を与える可能性があり、近隣住民とのトラブルに発展することもあります。
使う予定がない空き家は、早めに手放す方向で行動することをおすすめします。
共有名義はリスクをよく理解したうえで進める
家を共有名義にすることは、一見すると公平感がありそうですが、リスクを理解しておく必要があります。
- 売却や増改築のたび、共有者全員の同意が必要
- 共有者どうしで意見が対立するとトラブルになる可能性がある
- 相続のたびに共有者が増え続ける
- 持分割合に応じて全員に税金の負担が発生する
上記のようなリスクがあることも踏まえ、慎重に判断しましょう。
まとめ
本記事のまとめです。
- 親の家を相続したら、まずは保存するか手放すか判断が必要。
- 相続関連の手続きは、期限が決まっているものもあるので早めの準備が必要。難しい手続きもあるため、専門家への相談も検討すべきである。
- 実家の相続に関連する税制を知っておこう。
- 親の家の相続では、遺産分割の公平感や共有名義のリスクなどに注意。
親の家を相続した後は、さまざまな手続きをおこなう必要があります。
相続後に誰かが住む・賃貸する・売却するなどの方向性によって、手続きや税金が変わってきますので、まずは相続人どうしで話し合って方向性を決めることが大切です。
手続きでわからないことがあれば、司法書士・弁護士・税理士などに適宜相談しましょう。
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