空き家を放置し続けていると、さまざまなリスクや法的な罰則が発生します。
空き家を放置して良いことはひとつもありません。空き家の所有者は早期の対策が求められます。
本記事では、以下の内容を解説します。
- 空き家を放置するリスクやデメリット
- 空き家を放置すると固定資産税や都市計画税が増加する
- 空き家を放置せず早めに対策するための方法
空き家を所有者している方や、これから空き家の所有者になる可能性がある方は、ぜひ参考にしてください
空き家を放置することで発生するリスク
空き家を放置していると、以下のようなリスクが発生します。
- 資産価値の低下
- 建物の倒壊
- 火災・放火
- 空き巣
- 不法投棄
- 景観の悪化
- 資産価値の減少
資産価値の低下
空き家を放置すると、さまざまな要因によって資産価値が下がるリスクがあります。これは、単に建物が古くなるだけでなく、複合的に問題が発生するためです。
- 構造の劣化:
雨漏りやシロアリ被害などで建物の木材が劣化すると、修繕が必要になる場合があります。 - 設備の老朽化:
空き家は換気されない状態が続きやすく、湿気で壁や天井、床などの建材が傷みやすくなります。 - 内装の損傷:
住宅を点検する機会が減るため、機器の故障やガラスの破損などが放置されやすくなります。
空き家が上記のような状態であることが判明すれば、当然資産としての価値も低下します。
建物の倒壊
人が住まなくなり、管理も入らず老朽化した空き家は、次第に劣化が激しくなります。修繕すべき箇所が放置されることで、倒壊の危険性があります。
とくに、雨漏りしている箇所を修繕しなければ、柱や床が劣化しシロアリなどの害虫が発生するリスクがあります。
火災・放火
管理されず老朽化した空き家は、放火の標的にされるリスクが高まります。
また、タバコのポイ捨てや、ネズミなどの動物が配線をかじって漏電した場合も火災に繋がることがあります。
隣の家に延焼した場合は、空き家の所有者が責任を問われるトラブルが発生する可能性があります。火災リスクを減らすためにも、定期的な管理をおこなうことが必要です。
空き巣
空き家では、残置物が盗まれる、物が壊される、落書きをされる、などの被害のリスクが高まります。
不法投棄
管理されていない空き家だと思われると、小さなごみを捨てられたり、次第に家電などの不法投棄被害にあうケースがあります。
景観の悪化
老朽化した空き家は、外壁や屋根の塗装が剥がれ、雑草が生い茂り、不衛生な状態になります。
このような空き家が街中に点在すると、景観を損ねるだけでなく、地域の魅力を低下させてしまいます。
第三者に損害を与え、損害賠償義務が発生するリスクもある
状態が悪化した空き家が第三者に損害を与えてしまった場合、空き家の所有者は損害賠償義務を負うことになります。たとえば、
- 不台風や荒天で屋根が飛ばされて、他の家の車を傷つけた
- 老朽化したブロック塀が崩れて通行人に接触し、ケガを負わせた
- 道路にはみ出すほど庭の木の枝が伸び、その枝が落下して通行人にケガを負わせたい
これらは、空き家を放置することで発生するリスクが高まります。
第三者によるトラブルの責任を負うリスクも
上記のトラブルに加えて、
- 空き家に放火され、その火災が原因で近隣住宅にも被害が出た
- 空き家が不法投棄の標的になったり、害獣が棲みついたりしたことで悪臭が発生し、近隣住民に健康被害が生じた
こういったケースも、空き家の所有者に損害賠償義務が発生する可能性があります。
とくに火災は、もともと入っていた火災保険が空き家を補償対象外とする場合があり、そうなると多額の賠償額を負担することになります。
空き家を放置して状態を悪化させることは、このように法的責任を負うリスクを増加させるため、とても怖いことなのです。
空き家を放置することで固定資産税が増加する
空き家を放置すると、景観や衛生上の問題だけでなく、所有者にとっては金銭面の負担が上昇するリスクが発生します。
空き家には固定資産税と都市計画税がかかる
誰も住んでいない空き家でも、所有していることで以下の税金が課税されます。
- 固定資産税
- 都市計画税
これらは、空き家を手放さない限り課税されるものです。
そのため、空き家が必要でない場合は、売却し手放すことを早めに検討しましょう。
空き家を放置し続けると固定資産税が上がる
一般的に、家が建っている土地は、固定資産税・都市計画税の課税評価額が軽減されています。
しかし、空き家を放置して状態が悪くなると「特定空き家」に認定され、この軽減措置が受けられなくなります。
これにより、税金の支払いが最大で当初の6倍近くになる可能性があります。
2023年12月13日から空家法が改正され、特定空き家の前段階である「管理不全空き家」も固定資産税の軽減措置の対象外となりました。つまり、特定空き家ほど状態が悪くなくても管理が行き届いていない場合は固定資産税が6倍になる可能性があります。
空き家を放置した場合の罰則
空き家の活用促進や、空き家問題の改善を目的として、2015年5月に空き家対策特別措置法(空き家)が施行されました。
行政代執行により、放置された空き家の解体・処分を自治体がおこなえるようになりました。
しかし、実際には空き家になってすぐに固定資産税が上がるわけではなく、行政代執行までには段階を踏んでいきます。
- STEP1指定
- STEP2助言・指導
- STEP3勧告※ここで固定資産税が6倍になります
- STEP4命令
- STEP5行政代執行
特定空き家や管理不全空き家に「指定」されると、行政から適切に管理するよう「助言・指導」がおこなわれます。
その後も放置され、状態が悪化した空き家であると判断された場合は、特定空き家や管理不全空き家に認定されます。
指導による改善がない場合、自治体は改善に向けた勧告を出します。
このタイミングで、税制の軽減措置の対象外となり、固定資産税は6倍、都市計画税は3倍となります。
勧告後も改善されない場合は「命令」という形で空き家の改善が求められます。これに応じないと、50万円以下の罰金が発生します。
命令を受けても改善しない場合、行政代執行により、自治体の判断で空き家を解体できます。
この際の解体・撤去費用は空き家の所有者に請求されます。
空き家の放置はリスク大。解決するための行動を解説
空き家を放置していても状態が悪くなり、先述したようなリスクが増加してしまいます。空き家を空き家のまま放置せず、管理したり手放したりすることを検討しましょう。
空き家を売却する
空き家を売却することで、以下のようなメリットが得られます。
- 現金化することで、他の用途に使用できる。
- 相続で遺産を分ける際、平等に分配できる。
- 定期的な管理が不要になり、精神的な負担が軽減される。
注意点としては、空き家の状態が悪くボロボロの場合は、売りにくいケースがあることです。
そのような場合は、解体して更地で売る方法がありますが、解体費用がかかります。費用の負担を抑えたい場合は、古家付き土地として売る方法もあります。
空き家を解体する
空き家を解体して更地にすることで、空き家の維持管理の手間や、空き家の老朽化による近隣への被害リスクから解放されます。
また、家が古い場合は更地にしたほうが売却しやすくなる可能性もあります。
ただし、解体には費用がかかるほか、家がなくなると固定資産税が高くなるといった注意点があることを理解しておきましょう。
空き家を賃貸する
「空き家の管理は大変だけど、思い入れのある家を売却や解体するのは抵抗がある…」という方は、空き家を賃貸物件として貸し出す選択肢もあります。
これにより、空き家を手放すことなく、賃貸収入を得ることもできます。
また、賃貸物件として空き家を貸し、人が使用し続けることで、定期的な管理をしなくても家が長持ちしやすくなります。
ただし、立場としては賃貸事業のオーナーとなるため、空き家の修理や管理・雨漏りやシロアリ被害などの対応は自らおこなう必要があります。
また、貸し出す前にリフォームを実施する場合は、その費用も必要になるため、予算の状況を踏まえながら検討しましょう。
管理会社に管理を依頼する
所有者に代わって空き家を管理するサービスをおこなっている業者に依頼する方法もあります。
プロに管理を依頼できるため、素人目では気づきにくい家の破損や不具合にも対処しやすくなります。
管理費用は月に5,000円から10,000円程度が相場でしょう。依頼内容によっては費用が高くなる可能性があります。
また、管理会社への委託は、空き家問題そのものの解決には繋がらないため、委託中に空き家の売却・賃貸・活用など方向性を検討しましょう。
空き家の管理が難しい場合は、早めの売却を
空き家の対策を4つご紹介しましたが、活用予定のない空き家は売却を検討することをおすすめします。
実家として思い入れがある場合や、定期的に親族が集まるために使用している場合などでない限り、空き家を保有し続けるメリットは基本的にありません。
定期的に空き家のメンテナンスをおこなっていても、年月が経てばどんどん資産価値も下がっていきます。
手続きに不安がある場合は専門家に相談しながら、早期に売却することをおすすめします。
まとめ
空き家の放置問題は社会的な問題となっており、政府や自治体としても対策を強める動きがみられます。
空き家の放置は維持管理費用がかかるほか、景観の悪化・不法投棄・火災などのリスクが発生します。
早めに以下のような対策を講じましょう。
- 売却する
- 賃貸として貸し出す
- 解体する
- 管理サービスを利用しながら対策を考える
どの方法が良いかは、空き家の状態や地域、所有者が空き家を保有したいかどうかなど、状況によって異なります。業者と相談しながら、あなたに合った方法で対策することをおすすめします。
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