活用していない空き家にも固定資産税がかかるため、売却・活用のために更地にすることを検討する方もいることと思います。
ただし、空き家を解体して更地にすると土地の固定資産税は高くなるため、かえって負担が増加する可能性があります。
この記事では、空き家の所有者の方に向けて、以下の内容について解説します
- 空き家を更地にすると、土地の固定資産税が高くなる仕組み
- 空き家を更地にする場合に気をつけたいこと
- 空き家を売却・活用する方法例
大切な資産である空き家を有効活用するためにも、ぜひお役立てください。
空き家を更地にすると、土地の固定資産税額が高くなる
空き家を更地にすると、固定資産税の対象が「建物と土地」から「土地のみ」となるため、固定資産税が安くなりそうなイメージがあります。
しかし、実際には空き家を更地にすることで、土地にかかる固定資産税が最大6倍、都市計画税※が最大3倍となるため、税金の負担は増加します。
※市街化が進んでいる(または市街化を図っている)地域に土地や家屋を持つ人に毎年課される税金。
住宅用地の特例を受けられなくなる
建物が建っているほうが固定資産税が安くなるのは、「住宅用地の軽減特例措置」があるためです。
この制度により、建物付きの土地は固定資産税が6分の1・都市計画税が3分の1に軽減されます。(敷地面積200㎡未満の場合)
固定資産税 | 都市計画税 | |
---|---|---|
敷地面積200㎡未満 | 評価額 × 1/6 × 1.4% | 評価額 × 1/3 × 0.3% |
敷地面積200㎡以上 | 評価額 × 1/3 × 1.4% | 評価額 × 2/3 × 0.3% |
更地 | 課税標準額 × 1.4% | 課税標準額 × 0.3% |
空き家を更地にした場合の固定資産税の変化
例として以下の条件において、
建物の有無で固定資産税がどう変化するか見てみましょう!
土地の課税評価額 | 2,100万円 |
---|---|
建物の課税標準額 | 1,400万円 |
築年数 | 25年 |
土地 = 2,100万円 × 16 × 1.4% = 4.9万円
建物 = 1,400万円 × 0.21 × 1.4% = 4.116万円
(0.21は木造建築の築25年の経年減価補正率)
空き家を解体して更地になっている場合の固定資産税は、以下のとおりです。
土地:2,100万円 × 1.4% = 29.4万円
建物の有無で、税額が大きく変化することがわかります。
空き家を解体して更地にしたい場合は、翌年までに売却や活用できる見込みがあるか、よく考える必要があります。
更地にしなくても、放置すれば固定資産税が高くなる可能性がある
空き家を放置していると「特定空き家」や「管理不全空き家」に指定され、固定資産税の減税措置が適用されなくなる可能性があるため、注意が必要です。
特定空き家とは、以下のような空き家を指します。
- 老朽化が著しく、倒壊など安全面の問題がある状態
- ゴミ・異臭など、衛生上有害となるおそれがある状態
- ボロボロの空き家など、著しく景観を損なっている状態
- 動物や虫が住み着く・木が敷地からはみ出しているなど、周辺の生活環境に悪影響を及ぼしている状態
また、2023年12月には「空き家対策特別措置法」が改正され、「管理不全空き家」も固定資産税の特例が受けられなくなりました。
そのような状況を避けるためにも、空き家は放置せず早めに活用・売却を検討するべきでしょう。
特定空き家ほど状態は悪くないが、窓や壁の一部が損傷している状態の空き家
空き家を更地にする際、固定資産税のリスクを軽減する方法
空き家を更地にする場合、解体工事や建築工事をおこなう時期を工夫することで、固定資産税の負担額が上昇するリスクを軽減できるため、解説していきます。
取り壊しは1月1日以降におこなう
空き家を解体して更地にする場合は、1月1日より「後」におこなうとよいでしょう。
固定資産税は、毎年1月1日を基準にして納税額が決められます。
そのため、1月1日よりも前に空き家の解体をおこなった場合は、次の年の1月1日時点では更地の状態となり、固定資産税の特例が受けられません。
1月1日より前に竣工する
もし、更地にしたあとに新しく建物を建てる場合は、可能であれば1月1日より「前」に竣工するように計画を進めましょう。
※竣工:建築工事が完了すること
そうすることで、翌年の1月1日時点で建物が建っているため、固定資産税は特例により安くなります。
一般的な住宅の場合、解体にかかる期間は30日から45日程度です。
また、戸建てやアパートの建築工事期間は90日程度で竣工できるケースもあります。
そのため、1年間で空き家の解体と住宅の建築をおこなうことは十分可能です。
ただし、2つの工事をスムーズにおこなうためには、事前に計画をしっかり建てることが重要です。
解体と建築どちらにも対応できる業者へ相談してみましょう。
空き家の更地化は立地などを考慮して慎重に
空き家を解体して更地にすることで、売れやすくなるケースはもちろんあります。
しかし、更地にする判断は慎重におこなうことをおすすめします。
更地にすれば売れるとは限らず、売れ残った場合は解体費用を回収できません。また、更地の状態で1月1日を迎えると、土地の固定資産税が最大6倍となります。
もし、空き家が再建築不可物件の上にあった場合は、更地にしたあとに新しく建物を建てられないため、売却しにくくなる可能性があります。
上記の内容を踏まえると、空き家の所有者の判断だけで更地にすることはリスクがともないます。
判断が難しい場合は、不動産や買取業者に相談してみることをおすすめします。
空き家は活用や売却の方法を早めに検討するのがベター
空き家を所有し続ける場合も、更地にする場合も、本記事でご紹介したような固定資産税の負担増加リスクがともないます。
早めに活用・売却の方法を模索するべきでしょう。
空き家を中古住宅として、または更地にして売却
空き家にかかる固定資産税の負担をなくすには、売却することがまず考えられます。
おもな売却方法は3つです。
中古住宅として売却
手間がかからないが、売却価格が低い可能性があります。古家付き土地として売却
建物に価値はなく、土地のみの価格となります。更地にして売却
解体費用がかかりますが、買い手が見つかりやすいです。
中古住宅としての需要
空き家というと老朽化した家を思い浮かべやすいですが、状態によっては中古住宅としての需要が見込めます。
空き家の築年数が20年・30年と建っている場合は、古家付き土地として売りに出す方法もあります。
この場合、建物には価値がなく土地のみの価格となります。買い手が解体やリフォームをおこなうことになるため、売却価格は下げざるを得ない可能性があります。
空き家がかなり老朽化している場合は、解体して更地にした方が、買い手が見つかりやすくなることもあります。
ただし、先述したように、売り手の判断で更地にするのではなく、不動産業者によく相談しましょう。
建物を活かして収益物件として活用する
空き家や土地に一定の価値が見込める場合は、収益物件としての活用を目指す方法もあります。
ここでは、よくある活用方法を簡潔にご紹介していきます。
賃貸物件として貸し出す
イメージしやすい方法として、修繕・リフォームして賃貸にする選択肢があります。
建物の大きさや状態にもよりますが、修繕・リフォームの資金が必要になりますので、それ以上の収益が見込める場合には有効だといえます。
ただし、借り手が見つからなければ、収入が停滞するリスクがあることは理解しておきましょう。
シェアハウスとして貸し出す
立地がよく、ある程度の家の広さがある場合は、シェアハウスとして貸し出す方法もあります。
リビングや洗面を住人の共用部とし、各部屋を個人のスペースとして使用します。
1人(または1世帯)に貸すより空室リスクが抑えられますが、規約の作成や入居者トラブル時の対応など、専門的な知識が必要になるため、専門家のサポートも検討すべきでしょう。
民泊、ゲストハウスとして活用する
旅行者・移住者が多い地域の空き家であれば、民泊・ゲストハウスとしての活用も考えられます。
リモートワークの普及により、地方移住や古民家風の暮らしといった需要に対応できる可能性があります。
リフォーム費用の捻出に加え、居住地から遠い場合は管理委託も視野に入れる必要があるため、収益性があるかどうかはよく検討しましょう。
更地にして土地活用をおこなう
上記の空き家活用以外にも、更地にして以下のように活用する方法もあります。
トランクルームとして貸し出す
荷物が増えて収納スペースが不足している人や、事業者などに需要があります。
セキュリティ対策や害虫対策が必要です。
貸し会議室として貸し出す
フリーランスや中小企業などに需要があります。
インターネット環境や設備の充実が必要です。
駐車場として貸し出す
都市部や駅周辺など、駐車場不足の地域に適しています。
舗装や照明などの設備が必要です。
ただし、先述したように、更地にしてから買い手が見つからなければ、解体費用や固定資産税によって金銭的に損をしてしまう可能性があります。
いずれの方法を選ぶにしても事前に十分な調査をおこない、収益性とリスクを検討することが重要です。
まとめ
本記事のまとめです。
- 空き家を更地にすると、土地の固定資産税が最大6倍・都市計画税は最大3倍となる。
- 更地にして売れ残った場合は、金銭的な負担がかえって増えてしまうため、慎重な検討が必要。
- もし空き家を更地にする場合は、1月1日を基準に解体・新しい建物の竣工の時期を検討することが重要。
- まずは活用・売却の方法を探すことがおすすめ。
空き家を更地にすることで売れやすくなるケースもありますが、立地や需要をよく調査したうえで検討しましょう。
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