空き家の売却は人生の中で何度も起きる出来事ではないからこそ、トラブルなく売却できるように注意点を把握しておくことが大切です。
本記事では、空き家を相続した方や、これから相続する予定の方に向けて、以下の内容を解説していきます。
- 空き家を売却する前の注意点
- 空き家を売却した後の注意点
- 空き家を仲介業者と買取業者のどちらに相談すべきか
相続した空き家の扱いにお困りの方は、本記事でご紹介する注意点に対処しながら、空き家の売却活動を進めていくことをおすすめします。
下記のYouTubeでも、本記事の内容をまとめて解説していますので、あわせてご覧ください(チャンネル登録もぜひお願いします)。
空き家を売却する前の注意点
ここでは、空き家を売却する前に注意しておくポイントを挙げていきます。
名義変更をしておく
空き家を相続したら、売主本人が登記名義人であることを確認しましょう。名義人が亡くなっている場合は、相続登記が必要です。
空き家の所有者が亡くなった人のままであったり、所有権者が複数人いる共有名義の状態だったりする場合、すぐに空き家の売却ができません。
ちなみに、不動産を相続した際の名義変更は、2023年4月から義務化されています。
名義変更をしないと、物件の販売ができません。
境界の確認
売る前に、どこからどこまでが自分の土地か、という境界を調べておきましょう。
境界がわからない場合は、すぐに空き家の売却ができませんので、事前に対処しておくとスムーズです。
境界を確認するおもな方法は以下の3つです。
- 法務局で、地積測量図や公図を取得し、土地の境界線を調べる。
- 現地で境界標を探して調べる。
- 土地家屋調査士に依頼して調べる。
近年の地積測量図であれば、すぐに境界がわかるケースが多いのですが、作られた年代が古いほど正確さに欠けます。
とくに昭和50年(1975年)ごろより前の地積測量図だけでは正確な境界がわからないことがあります。その場合は土地家屋調査士などの専門家に依頼する必要があります。
抵当権抹消登記の確認
物件に抵当権が設定されている場合は、抵当権抹消登記が必要です。
住宅ローンを組むときに、金融機関が物件に設定する権利。
ローン返済が滞った際、金融機関は抵当権を実行し、不動産を競売にかけ、売却で得たお金を住宅ローンの返済に充てます。
抵当権抹消登記が完了していないと、買主は安心して物件を購入できません。抵当権が残っている空き家を売ることは、実質不可能といえます。
抵当権は、自分で手続きをしない限り、自動的に消えません。手続きは複雑になるため、司法書士に相談しましょう。
金融機関の担保(抵当権)になっている物件の購入は、買い手にとってリスクが高いため、売れにくいです。
用意できる書類は集めておく
不動産に行く前に、可能であれば以下の書類を準備しておきましょう。
- 建物図面
- 固定資産税の納税通知書
- 銀行の残債票(住宅ローンが残っている場合)
- リフォームをおこなった場合はその資料
これらの資料がなくても売却は可能ですが、あったほうがスムーズに売却が進みます。
自己判断でリフォームしない
売却前にリフォームをしたほうが売れそうに思えますが、売主の自己判断でのリフォームはリスクが伴うため注意が必要です。
理由としては、利便性がよくない地域ではリフォームをしても売れる保証が無いためです。売れ残った場合は、リフォーム費用がまるまる赤字になってしまいます。
仲介業者へ相談している場合、リフォームを提案されることがありますが、慎重に判断すべきです。
物件が売れずに、リフォームの費用だけ払っちゃった…。という状況は避けたいです。
自己判断で解体しない
売却前に自己判断で解体することも、慎重な判断が必要です。
「自己判断でリフォームしない」と理屈は同じで、解体したからといって売れる保証はなく、売れ残れば解体費用が赤字になってしまいます。また、更地にすることで、住宅が建っている時より固定資産税が高くなります。
空き家のリフォームや解体の判断は、不動産や買取業者に相談しながら、慎重に判断しましょう。
売却を相談する業者について調べる
空き家を売却する際、相談する業者の形態は主に2つあります。 それぞれのメリット・デメリットを把握し、売却を相談する業者を選定しましょう。
1. 仲介業者に依頼する
2. 買取業者に依頼する
自分で相場を調べておく
自分である程度相場を把握しておくことも重要です。
善良な不動産業者や営業担当ばかりではないのが現実なので、まったく相場を知らない状態で不動産に行くと、安く買い叩かれる可能性が上がってしまいます。
反対に、「最低これくらいの金額で売りたい」と、強気の金額で売りに出して、いつまで経っても売れないという事態にも繋がりかねません。
相場を把握するためには、同じようなエリア・物件で、どれくらいの価格で取引されているかを調べることが手軽かつ有効です。
以下2つの調査方法をご紹介します。
スーモやホームズなどの不動産サイトを参照
情報が多く参考にしやすいですが、これらのサイトに載っている金額は「売り出し価格」であって「成約価格」ではないことに注意しましょう。
実際の売買の現場では、値引き交渉が行われることもあります。
たとえば、1,000万円で売り出した中古物件が、最終的に900万円で成約といったことはよくあるため、売り出し価格より成約価格は低くなることがある、という認識は持ったうえで相場感を把握しましょう。
国土交通省の「土地総合情報システム」を参照
こちらでは実際の「成約価格」を調べられるため、より正確な情報が手に入ります。
しかし、自分が住んでいるエリアの情報が載っていないケースがあります。その場合は、近くのエリアの情報を探してみましょう。
そのうえで、「2丁目の家が●●万円で売れている。自分の空き家がある3丁目は、2丁目より少し利便性が低いので、もう少し低めの価格が相場だろう」といった具合で、相場を予測しましょう。
適切な売却価格を定める
1つ前の見出しに関連する内容となりますが、空き家の売却で物件掲載サイトや仲介業者を活用する際には、適切な売却価格を定めることが重要です。
売却価格は、以下の要素を参考に決定します。
- 市場価値: 周辺の類似物件の売却価格
- 物件の状態: 築年数・修繕履歴・家の設備の状況など
- 立地条件: 交通アクセス・周辺環境など
空き家の売却価格設定が高すぎると、売れ残る可能性が高くなります。
反対に、相場より設定価格が低すぎると損をしたり、購入希望者から不審に思われたりする可能性があります。
市場価値を調べる方法は
- 不動産業者に査定を依頼する
- 周辺の類似物件の売却価格を調べる
- 国税庁の路線価図・相続税路線価図を利用する
などの方法があります。
- 2,000万円だと高すぎて誰も買わない。
- 100円だと安すぎて不信に思い誰も買わない。
空き家を売却した後の注意点
空き家は売却すればそれで終わりではありません。
売却後の契約不適合責任や税金関連などの注意点が存在します。
契約不適合責任を問われる可能性がある
仲介業者の活用や自己発見によって、空き家を一般の買主に売却する場合は、契約不適合責任を問われる可能性について理解しておきましょう。
契約不適合責任とは、売買の契約後に、売買契約書に告知事項として記載されていない欠陥(シロアリ・雨漏りなど)があった場合、売主が負う責任のことです。具体的には、以下の責任を負う可能性があります。
- 買主から請求されれば、欠陥部分を修補する義務
- 買主から代金減額請求を受けた場合、応じる義務
- 買主から損害賠償請求を受けた場合、応じる義務
- 買主から契約解除を申し出られた場合、応じる義務
ちなみに、買取業者に直接売却する場合は、一般的に売主は契約不適合責任を負いません。
古い空き家には欠陥がある可能性が高くなるため、一般の買主ではなく買取業者に売却するほうがリスクが少ないといえます。
取得費が不明だと譲渡所得税が高くなる可能性がある
譲渡所得税は、不動産などを売却した際に得られる利益に対して課税される税金で、以下のように計算されます。
空き家売却の譲渡所得税
譲渡所得 = 売却価格 – 取得費(不動産を買った時の価格)
譲渡所得税 = 譲渡所得 × 税率(約40%)
ただし「相続した空き家の取得費が不明な場合、売却価格の5%を取得費とみなす」というルールがあります。
例を挙げて説明します。
取得費:500万円
譲渡所得税:(800万円 – 500万円) × 40% = 120万円
取得費:不明 → 800万円 × 5% = 40万円
譲渡所得税:(800万円 – 40万円) × 40% = 304万円
このように、譲渡所得税が高くなります。
所得費が不明な場合、合理的に取得費が算出できれば、その金額を譲渡所得税の計算に使用してよいとされています。
しかし、一般の方に馴染みがない書類やデータを処理する必要があるため、税理士に相談することが無難でしょう。
実際は譲渡所得税は3,000万円まで控除されるが、期限がある
所得費が不明な場合、譲渡所得税が通常より高額になることをお伝えしました。しかし、控除特例を適用すれば、税負担を抑えられます。
「相続空き家の3,000万特別控除」は、相続した空き家の譲渡所得が3,000万以下である場合は、全額控除される制度です。
先ほどの取得費不明の空き家の場合でも、譲渡所得費は0円になります。
取得費:不明 → 800万円 × 5% = 40万円
譲渡所得税:(800万円 – 40万円 – 3,000万円) × 40% = 0万円
実際には、よほどの豪邸でない限り、空き家の売却では譲渡所得税がかかりません。
ただし、3,000万特別控除には期限があります。控除を受けるためには、相続してから3年が経過した年の12月31日までに売却する必要があります。
空き家を相続した場合は、必ず相続した年と日付を覚えておきましょう。
まとめ
本記事のまとめです。
- 空き家の売却前は、登記・売却価格の設定などの注意点が存在する。
- とくに売却前のリフォーム・解体は慎重に判断する必要がある。
- 空き家の売却後も、契約内容や税金に関する注意点がある。税制を活用するためには早めの行動で売却をすすめることが大切である。
今回ご紹介した注意点への対策を行いつつ、納得のいく空き家の売却活動を進めることをおすすめします。
当社は空き家を高く早く買い取ります
ハウスプロデュースは、関西地区を中心に空き家の買取を行っています。
当社は空き家を直接買取いたしますので、お客さまにとっては今回ご紹介した契約不適合責任のリスクがないほか、事前の解体・リフォームも不要です。
再建不可・狭小地・旗竿地・雨漏り・借地や底地など、一般的な不動産での売却が難しい物件でも買取が可能なケースがあるため、他社で売れなかった物件のご相談も承ります。
「そもそも空き家をどう扱っていいかわからない」というご相談も大歓迎です。無理な営業はいたしませんので、まずはお気軽にお問い合わせください。
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