昨今、全国的な空き家の増加が社会問題となっています。
ニュースや新聞で「特定空き家」という言葉を目にする機会が増えた方も多いのではないでしょうか。
「特定空き家」とは、管理が不十分で周囲に悪影響を与える恐れがある空き家を指します。
特定空き家に認定された空き家は、住宅が建っている土地における固定資産税の優遇措置が無くなる場合があるため、注意が必要です。
自身が所有する空き家が「特定空き家」と認定されないよう適切な管理を行うことは、固定資産税を節約するうえでも非常に重要です。

「特定空き家」に認定されないための、具体的な対策についても解説するで〜!
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特定空き家とは?

「空き家」とは、1年以上居住者がおらず、電気・ガス・水道などの基本的なインフラが停止されている建物を指します。また、所有者の住民票が空き家の住所と異なる場合も含まれます。
空き家の中でも、放置されて安全性や衛生面で問題がある空き家は、自治体から「特定空き家」に認定されます。
「特定空き家」に認定された空き家は、行政からの指導や勧告を受け、場合によっては強制的な改善措置が求められることもあります。
特定空き家の定義
「特定空き家」は、空家等対策の推進に関する特別措置法で定められており、以下のような状態の空き家を指します。
- 保安上の危険性
建物の損傷や、門・看板などが倒壊する恐れがある状態。 - 衛生上の有害性
ゴミや汚物の異臭、害獣や害虫の発生で、周辺に衛生面で悪影響を及ぼす状態。 - 景観の悪化
建物への落書き、立木の過剰な繁殖、ゴミの放置などで景観を著しく損ねる状態。 - 生活環境への悪影響
立木の散乱、動物の鳴き声や臭い、不審者の侵入などで周辺住民の生活に悪影響を及ぼす状態。
これらの条件を満たす空き家は、周囲に深刻な迷惑をかける恐れがあるため、自治体によって「特定空き家」として認定される可能性があります。
(参照元:空家等対策の推進に関する特別措置法|e-gov法令検索)
固定資産税が最大6倍!特定空き家に認定されると?
「特定空き家」に認定されると、固定資産税の軽減措置の適用から除外されます。
その結果、翌年以降の課税負担が増加し、固定資産税額が最大6倍まで増加します。
固定資産税の軽減措置とは?
不動産には通常、固定資産税や都市計画税が課せられます。
ただし、200㎡以下の小規模住宅用地が建っている土地に対しては、以下の軽減措置が適用されます。
- 固定資産税:課税標準額の6分の1
- 都市計画税:課税標準額の3分の1
この特例により、住宅用地の固定資産税額は大幅に抑えられています。
負担調整措置について
ただし「特定空き家」に認定されても、実際の固定資産税の金額が必ずしも6倍になるわけではありません。
税負担の急激な増加を防ぐため、課税標準額は地方自治体によって以下のように制限されます。
- 固定資産税評価額の70%が上限(東京23区などでは65%)
管理不全空き家と特定空き家の違い

「管理不全空き家」とは、特定空き家に認定される前段階の空き家を指します。
具体的には、著しく状態が悪いわけではない(窓や壁の一部が傷んでいるのみ)が、適切に管理しなければ将来的に近隣住民の安全・衛生を脅かす恐れがある状態です。
管理不全空き家に指定された空き家の所有者には、改善を促すための指導が行われます。状況が改善されない場合、その空き家は「特定空き家」に認定されます。
管理不全空き家も軽減措置の対象外に
放置状態の空き家だとしても、特定空き家に認定されない限りは固定資産税の軽減措置が適用されていました。
しかし、2023年12月から法律が改正され、管理不全空き家も軽減措置の対象から外れるようになりました。

以前は「かなり状態が悪い空き家」だけが固定資産税6倍の対象やったけど、いまは「少し状態が悪い空き家」も対象になってるで。
空き家を綺麗に保っておくことが、これまで以上に重要になったな。
特定空き家に認定された後の流れ
空き家が特定空き家に認定された後の流れは以下のとおりです。
- STEP1指定
- STEP2助言・指導
- STEP3勧告※ここで固定資産税が6倍になります
- STEP4命令
- STEP5行政代執行
1.通知と報告
自治体は、特定空き家として認定した理由や、今後行うべき対策方法などの情報を所有者に通知します。所有者は通知内容に基づいた対応が求められます。
2.助言または指導
所有者には、空き家の適切な活用や対策(例:改修、貸出し、売却、解体)について助言や指導が行われます。対策は自治体との協議によって決定されます。
3.勧告
助言・指導にもかかわらず改善が見られない場合、自治体は正式に文書による勧告を行います。
勧告を受けた翌年から住宅用地の減税措置が受けられなくなり、固定資産税は最大6倍、都市計画税は最大3倍にまで引き上げられます。
4.命令
勧告を受けても空き家の状況が変わらない場合、自治体から所有者に対して改善命令が出されます。命令は行政処分に相当するため、これまでよりも重い処分(50万円以下の罰金など)が科せられます。
5.行政代執行
命令に従わない場合、自治体は行政代執行により、以下のような措置を講じます。
- 自治体が空き家の解体や必要な措置を、所有者の許可なく実行する。
- 住宅の解体などにかかった費用を空き家の所有者に請求する。
また、所有者不明または連絡不能の場合は「略式代執行」が適用され、自治体が一時的に費用を負担します。
その後、所有者が特定され次第、費用が所有者に請求されます。

老朽化した空き家の放置に対する罰則が厳しくなってるで!
繰り返しになるけど、しっかり管理することが大切なんや。
【対策】特定空き家に認定されないためにできること

空き家が特定空き家に認定されると、多くのリスクが生じます。
リスクを回避するためには、事前に適切な対策を行うことが重要です。
ここでは、その具体的な対策を解説します。
対策1. 定期的なメンテナンスと清掃を行う
特定空き家に指定される理由の多くは、建物の状態や景観の悪化です。
たとえ空き家の利用方法が決まっていなくても、定期的にメンテナンスや清掃を行い、建物や敷地を良好な状態に保ちましょう。
以下の選択肢を活用することも有効です。
- 空き家巡回サービスを利用する
- 清掃業者に依頼する
これらのサービスには費用が発生しますが、特定空き家に指定されるリスクを減らせます。
対策2. 賃貸として活用する
需要のある地域に位置する空き家は、以下のような方法で貸し出すことで収益を得られる可能性があります。
- 戸建て賃貸
- シェアハウス
- 民泊・簡易宿泊所
- 貸店舗
状態が良ければ最低限の清掃で貸し出せますが、老朽化している場合は修理やクリーニングが必要です。 貸し出し前には、近隣の賃貸相場やリフォーム費用を確認しましょう。
対策3. 解体する
空き家の維持コストが高い場合や活用が難しい場合は、解体も選択肢の1つです。
解体後の利用方法としては以下が考えられます。
- 更地にして駐車場や貸し倉庫として活用
- 新たに建物を建てて賃貸住宅や店舗として運用
ただし、建物を解体した状態で1月1日を越えると、土地に対する固定資産税の優遇措置が受けられなくなるため、解体を行う時期は十分に検討する必要があります。
解体費用は地域や敷地条件によって異なりますが、木造2階建て30坪で約100万円〜120万円が相場です。
自治体によっては解体費用に対して補助金が出る場合があるので、解体前に条件を確認しておきましょう。
対策4. 空き家のまま売却する
「空き家を活用する予定がない」「手っ取り早く現金化したい」とお考えの方には、空き家のまま売却する方法をおすすめします。
解体してから売却するほうが高値で売れる可能性もありますが、事前に解体費用を自己負担することを考えると、売値次第では損をする場合もあります。
一方で、空き家のまま売却すれば、解体費用を負担する必要がないため、コスト面でリスクを取らずに売却が可能です。
買主が物件をどのように活用するかは購入後に判断するため、空き家の状態のままでも購入してもらえるケースが多いです。
【対策】特定空き家とは?固定資産税への影響と管理不全空き家との違い:まとめ
特定空き家に認定されると、近隣住民への迷惑や固定資産税の増加など、さまざまな問題が発生します。
その結果、大切な家族の遺産が「負の遺産」となり、家計や精神的負担を引き起こす原因となります。
そうした事態を防ぐためには、以下のような対応策を早めに検討し、実行することが重要です。
- 空き家の活用(賃貸、シェアハウス、民泊など)
- 解体(更地にして活用)
- 空き家の活用(賃貸、シェアハウス、民泊など)
- 売却(そのまま売るか、解体して売る)
これらの選択肢について家族と早期に話し合い、方向性を決めた後は必要に応じて専門家の助けを借りて、納得のいく計画を立てましょう。
遺産を負担ではなく、価値あるものへと変える可能性が広がります。
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