空き家を放置し続けて状態が悪くなると、固定資産税が最大で6倍になります。
2023年12月に改正法が施行され、固定資産税が6倍になる空き家の範囲が拡大されました。
空き家を所有する方には「自分の物件が該当するのか」「固定資産税が上がるまでの流れはどうなるのか」といった不安が生じていることと思います。
本記事では、以下の内容について詳しく解説します。
- 空き家の固定資産税が、最大6倍に上がる条件
- 空き家の固定資産税が上がるのはいつから?
- 空き家の固定資産税が最大6倍に上がる前に取るべき対策
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空き家にかかる税金

まずは空き家にかかる税金と算出方法を解説します。
固定資産税と都市計画税
居住中の住宅と同様に、空き家にも固定資産税や都市計画税が課されます。
これらの税率は以下のように算定されます。
都市計画税 = 課税標準 × 0.3%
※課税標準:税率をかけて税額を算出するための基礎となる金額で、自治体ごとに異なります。
住宅が建っている土地は固定資産税が減額されている
不動産の固定資産税は、土地と建物の評価額をもとに算出されます。
住宅が建っている場合は「住宅用地の特例」による軽減措置が適用され、固定資産税と都市計画税が減額されています。
軽減措置によって、敷地面積に応じて以下のように減額されます。
敷地面積200㎡までの部分
都市計画税:3分の1まで減額
敷地面積200㎡を超える部分
都市計画税:3分の2まで減額
空き家の固定資産税が最大6倍になる条件
ここからは、空き家の固定資産税が最大6倍になる条件について解説します。
空き家を解体して更地にした場合
住宅用地の特例による減税措置は、住宅が建っている土地に対して適用されるものであり、更地には適用されません。
そのため、空き家(建物)を解体して更地にすると、住宅用地の軽減措置が適用されなくなり、翌年から固定資産税が最大で6倍に引き上げられる可能性があります。
空き家が「特定空き家」に指定された場合
「特定空き家」とは、衛生・環境・安全などの観点から周囲に深刻な悪影響を及ぼす可能性のある空き家を指します。
特定空き家に指定されると、行政からその旨が勧告されます。
その後も空き家を放置していると、住宅用地の特例による軽減措置の対象から除外され、翌年から固定資産税が最大で6倍に引き上げられます。
空き家が「管理不全空き家」に指定された場合
「管理不全空き家」とは、特定空き家に認定される前段階の空き家を指します。
具体的には、窓や壁の一部が傷んでいるなど、著しく状態が悪いわけではないものの、適切に管理しなければ将来的に近隣住民の安全や衛生を脅かす恐れがある状態です。
2023年12月に空き家に関する法律が改正され、管理不全空き家も住宅の軽減措置の対象から外れました。
管理不全空き家に指定されると、特定空き家と同様に翌年から固定資産税が最大で6倍に引き上げられる可能性があります。
空き家の固定資産税が6倍になるのはいつから?
実際には「特定空き家」や「管理不全空き家」に指定されても、すぐに固定資産税が6倍になるわけではありません。
空き家が特定空き家に指定されるまでの流れは以下のとおりです。
- STEP1指定
- STEP2助言・指導
- STEP3勧告※ここで固定資産税が6倍になります
- STEP4命令
- STEP5行政代執行
「特定空き家」や「管理不全空き家」に指定されると、行政から適切な管理を求める「助言・指導」が行われます。
この段階で住宅の清掃・解体や草木の除去などを行えば、指定を解除できます。
しかし「助言・指導」に従わずに放置し続けると「勧告」を受けます。
このタイミングで住宅用地の特例措置から外れ、固定資産税が6倍になります。
その後も状態が改善されなければ、「命令」が出されます。
最終的には「行政代執行」により、自治体が所有者に代わって処分・解体を行い、その費用は空き家の所有者に請求されます。
※※行政代執行:特定空き家などの所有者に代わって、行政が強制的に解体などの措置を行うこと。
空き家の固定資産税を支払うのは誰?
空き家の固定資産税を支払うのは、その年の「1月1日時点での所有者」です。
所有者とは、登記簿に記載されている名義人を指します。
1月1日時点の所有者が亡くなっている場合、その「相続人」に納税義務が生じます。
固定資産税の支払いが滞り延滞金が発生すると、最終的には財産の差し押さえなどの措置が取られる可能性があるため、注意が必要です。
空き家の固定資産税が6倍になる前に取るべき対策
特定空き家に指定され固定資産税が最大6倍まで引き上がる前に、空き家の所有者がおこなうべき対策を解説します。
対策1.空き家を適切に管理する
「管理不全空き家」や「特定空き家」に指定されても、すぐに固定資産税が引き上げられるわけではありません。
また、固定資産税や都市計画税は、毎年1月1日を基準に見直されます。
そのため、行政からの助言・指導に沿って年内に空き家の状態を改善すれば、特定空き家の指定が解除される可能性があります。
しかし、空き家の状態を改善するためには費用がかかります。明確な活用方法がない場合は、早めに売却や賃貸などを検討しましょう。
対策2.空き家を売却する
空き家を売却して手放すことで、固定資産税や都市計画税の負担、空き家の管理にかかる手間がなくなります。
ただし、空き家の状態が悪くなると、売却したくても買い手が見つかりにくくなります。
所有し続けたい理由がない限りは、空き家になった時点で速やかに売却に向けて動くことをおすすめします。
対策3.空き家を賃貸に出す
空き家を賃貸に出して入居者が見つかれば、空き家として扱われないため、固定資産税が最大6倍になるリスクを回避できます。
家賃収入を得られるほか、不動産の評価額が高くないため、相続税や贈与税の負担も軽減できます。
ただし劣化が進行している空き家を貸すなら、事前のリフォームは必須となるため、費用が発生する点に注意が必要です。
対策4.空き家を解体する
空き家を解体して更地にすることで、土地の売却がしやすくなります。
また、賃貸する場合でも資材置き場やコインパーキングなど、活用がしやすくなります。
解体するための費用が必要になりますが、自治体によっては空き家の解体に対して補助金制度を設けているケースがありますので、事前に確認しておきましょう。
ただし空き家を解体することで、住宅用地の特例による軽減措置の適用から外れるため、解体を実行する時期には注意が必要です。
不動産業者に相談し、空き家にすることで売却や賃貸できるのか、見通しを立てたうえで解体しましょう。
【対策】空き家の固定資産税が最大6倍に!特定空き家になる前にやるべきこと:まとめ
- 空き家にも固定資産税・都市計画税がかかる
人が住んでいる家と同様に、空き家にも固定資産税や都市計画税が課されます。 - 空き家でも固定資産税の減額措置が適用される
空き家であっても、適切に管理されている場合は「住宅用地の特例」により固定資産税の減額措置が適用されます。 - 放置すると固定資産税が最大6倍に
空き家を放置し、状態が悪化すると「特定空き家」や「管理不全空き家」に指定され、固定資産税の減額措置が受けられなくなります。その結果、固定資産税が最大で6倍に引き上げられる可能性があります。 - 空き家の適切な対応が求められる
空き家を放置して近隣に悪影響を及ぼさないためにも、管理・売却・賃貸などの行動が所有者には求められます。
これまでは、倒壊の危険があるなど、著しく状態が悪い空き家のみが固定資産税の減額措置から除外されていました。
しかし、2023年12月に「空家等対策の推進に関する特別措置法」が改正され、窓や壁の一部が損傷していたり、草が生い茂っていたりする「管理不全空き家」も固定資産税が最大6倍となる可能性があります。
もし、行政から助言・指導があった場合は、早めに対策を講じることをおすすめします。
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