空き家を売却したいと考えたとき、まずは不動産業者に相談するケースが多いと思います。
それ以外にも、自治体が運営する「空き家バンク」・不動産マッチングサイトで買い手を直接探す・買取業者に売るなどの選択肢もあり、空き家を売却する方法は多様化しています。
今回は空き家を売却する方法と、流れについて詳しく解説します。空き家の売却をご検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
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空き家を売却する4つの方法とそれぞれのメリット・デメリット
空き家を売却するには、不動産業者に仲介を依頼する他にも、空き家バンクの利用や個人間売買、買取業者に売却などいくつかの方法があります。
それぞれのメリット・デメリットを解説します。
不動産業者を介して売却する
不動産業者と仲介契約を結び、売り手自身が希望する金額で買い手を募集します。
地域密着型の不動産業者であればそのエリアの相場にも精通しており、早く売却を進めたい方へのアドバイスもしてくれるでしょう。
独自の地域ネットワークで買い手を見付けてくれたり、不動産仲介サイトへ掲載して広範囲から買い手を探したりすることも期待できます。
しかし、購入希望者が現われたとしても、内見したうえで合意に達するまでには時間が掛かるケースも多いでしょう。
また、相場とかけ離れた金額を設定すると買い手は見つかりにくくなります。
また、売買契約が成立した際には不動産業者に仲介手数料を支払わなければなりません。参考に仲介手数料の上限額を下記にまとめます。
不動産の取引額 | 手数料の上限額 |
---|---|
200万円以下 | 5% |
20万円超~400万円以下 | 4% + 2万円 |
400万円超え | 3% + 6万円 |
空き家バンクに登録して売却する
自治体が運営する空き家バンクに物件を登録して、買い手を探す方法もあります。
空き家バンクとは、自治体のHPに登録された空き家等の情報を購入希望者に紹介する制度です。
少子高齢化や人口減少などで空き家が増加し、管理の行き届かない物件が増えている状況を改善すべく、国が主導となって整備されました。
過疎化が進む地方の自治体では、移住を促進して地域活性化にもつながることが期待されています。
空き家バンクを利用して成立した売買に対して、独自の補助金や税制優遇等の制度を用意している自治体もあります。
ただし、自治体は不動産取引の仲介はできないため、実際の売買の際には自治体が紹介する不動産業者が入り仲介手数料が発生します。
個人間で売買する
不動産のマッチングサイトで買い手を探し、個人間売買をするケースも近年増えています。
立地や状態に難のある空き家や評価額が極端に低い物件でも買い手を募集でき、不動産業者が扱いづらい物件も売却できる可能性があるでしょう。
仲介手数料が発生しないのは魅力ですが、すべての手続きを自ら進めなければなりません。
多くの時間と手間が掛かるうえに、売買契約や引き渡しでトラブルが発生した時には自己責任で対応することになります。
契約書の作成や不動産の移転登記は専門家に依頼したほうが無難でしょう。
空き家買取業者に売却する
空き家の売却で最もおすすめするのが、買取専門業者に現状のまま買い取ってもらう方法です。
空き家買取専門業者は、仕入れた物件を必要に応じてリフォームし販売することが前提ですので、建物や立地に多少の難があっても買取が可能な業者が多いです。
査定から契約、入金までのスピードが早いのが特徴で、空き家の現金化を急ぎたい方には最も適した売却方法です。
空き家の買取業者に直接売却する場合は、一般的に売主は契約不適合責任を負わないため、引き渡し後のトラブルも発生しにくいでしょう。
また、売り手と買い手の直接売買であるため仲介手数料が掛からないことも大きなメリットです。
空き家を売却する流れ
空き家を売却する方法ごとの流れを比較してみます。
仲介業者に依頼する場合
不動産会社に仲介を依頼して空き家を売却する場合は、次のような流れになります。
- STEP1仲介会社に相談
- STEP2仲介会社との媒介契約
- STEP3売り出し価格を決めて募集開始
- STEP4買い手との交渉
- STEP5契約・引き渡し
注意点は、媒介契約には一般媒介契約 / 専任媒介契約 / 専属専任媒介契約の3種類があることです。
一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | |
---|---|---|---|
特徴 | 複数の会社と契約できる | 1社としか契約できない | 1社としか契約できない |
REINS登録義務 | なし | 契約後7日以内に登録 | 契約後5日以内に登録 |
契約期間 | 制限なし | 最長3ヵ月 | 最長3ヵ月 |
報告義務 | なし | 1週間に1度以上 | 1週間に2度以上 |
専任媒介契約や専属専任媒介契約からスタートした場合でも、なかなか買い手が見付からない場合は一般媒介契約にして複数の不動産会社に依頼することが可能です。
空き家バンク / 個人間売買の場合
空き家バンクや不動産マッチングサイトに登録して買い手を探す場合の流れは下記のようになります。
- STEP1マッチングサービスへの登録
- STEP2物件概要の入力・審査
- STEP3売り出し価格を決めて募集開始
- STEP4買い手との交渉
- STEP5契約・引き渡し
相場価格の確認や売買契約書の作成、不動産移転登記など各種の専門家支援サービスを提供している自治体やマッチングサイトもあります。
トラブルを避けるためにはそのようなサービスを積極的に活用すべきです。
買取業者の場合
空き家買取専門業者に売却する場合の流れは次の通りです。
- STEP1買取業者に査定を依頼
- STEP2買取業者との交渉
- STEP3契約・引き渡し
他の方法と比較して最も手間が掛からず、スピードが早いことがわかります。
空き家買取業者も不動産のプロですので、売買契約や不動産移転登記に関わる手続きを安心して任せられます。
売却後の確定申告の手続きなど、さまざまな悩みを相談できることも強みです。
空き家を売却するメリットは?
空き家を放置したままにせず、売却することのメリットを解説します。
空き家の維持管理の負担がなくなる
住人がいなくなった家屋は急速に劣化します。室内に湿気がこもり、木造家屋は腐朽やシロアリが発生するリスクもあります。
劣化した部位には、修繕費の負担が重くのしかかります。
なるべく健全なままで維持しようとすると、定期的な見回りや通風、庭の草刈りなどが必要となり、遠方にお住いの方には現実的ではないでしょう。
かといって放置すると、近隣への迷惑になるだけでなく、放火のリスクも心配しなければなりません。
空き家を売却することで、上記のような時間的・金銭的な負担から解放されます。
空き家に税金などが掛からなくなる
空き家になった家であっても、所有者は固定資産税を負担しなければなりません。
空き家を解体して更地にした場合は「小規模宅地等の特例」が適用されなくなり、土地の固定資産税が最大6倍になります。
定期的な維持管理のために電気や水道を生かしたままにすると、使用しなくても基本料金は毎月掛かります。
空き家を売却することで、これら税金や公共料金の負担もなくなります。
空き家を現金に替えられる
空き家を売却することで、管理の負担から解放されるだけでなく、現金化できます。
相続が発生した場合には、不動産を現金化して分割したほうが遺産分割協議がスムーズに進むでしょう。
その点で、空き家買取専門業者に依頼して売却する方法は、現金化のスピードが早いため有利です。
空き家を売却する際の注意点
空き家を売却する際には下記の点に注意しましょう。 思わぬ罰金が発生したり、受けられるはずの税金控除が受けられなかったりなどの事態になりかねません。
相続後の名義変更を忘れずに行う
相続後に登記上の名義変更をしていないと、無権利者扱いになり売却はできません。相続協議がまとまりしだい、速やかに名義変更を実施しましょう。
これは、相続や遺贈によって、土地や建物などの不動産を取得した相続人に対して、その取得を「知った日から3年以内」に相続登記の申請を義務付ける制度です。
また、銀行ローンの抵当権が設定されている場合も注意です。完済後は抵当権抹消登記を確実にしておきましょう。
特別控除の条件に注意
空き家を売却して利益が出たときは譲渡所得税が発生しますが、特別控除を受けるためには期間の制限があることに注意しましょう。
「居住用財産の特別控除」を受けるためには住まなくなってから3年以内、「相続空き家の特別控除」を受けるためには相続の開始から3年以内での売却が必須です。
片付け・清掃で査定アップ
可能であれば、空き家を売却する際には片付けと清掃を実施しましょう。
購入希望者の内見時のイメージ向上や、買取査定の印象を良くするためです。
残った家財道具等を可能な限り整理して清掃し、購入希望者に綺麗な状態で見せると売却金額のアップにつながる可能性があります。
まとめ
今回は空き家を売却する際の選択肢と、売却の流れについて解説しました。
利用する予定がない空き家を所有したままでいると、維持管理に労力が掛かるうえに税金などさまざまな出費が発生します。
空き家の状況や、所有者が空き家にかけられる時間などを考慮して、今回ご紹介した空き家の売却方法を選定しましょう。
売却を検討する際には経験豊富な専門家に相談
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