事故物件の売却は、心理的にも実際的にも非常に難しい課題です。しかし、適切な方法を選択すれば、売却を成功させることも可能です。
本記事では、事故物件の定義、売却が難しい理由、売却したい場合の相談先、おすすめの売却方法について解説します。
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事故物件の定義
事故物件とは、心理的瑕疵がある物件のことを指します。
心理的瑕疵とは、通常の使用に支障はないものの、心理的な抵抗感や嫌悪感を抱かせるような物件の欠陥を意味します。具体的には、以下のような場合が該当します。
- 自殺、他殺、孤独死、事故死などが発生した物件
- 犯罪現場となった物件などが事故物件
国土交通省によるガイドライン
国土交通省が2021年10月に定めた「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」によると、事故物件とは「自然死や不慮の事故以外の死」または「特殊清掃が必要となる死」が発生した物件のことを指します。
自然死や不慮の事故死であっても、特殊清掃が行われた物件は事故物件扱いとなります。
自然死や不慮の事故死であっても、発見まで時間が経過した・異臭などが発生していた場合などは事故物件扱いとなる可能性があります。
事故物件の売却が難しい理由
事故物件の売却は、通常の物件に比べて難しいと言われています。主な理由は以下の2つです。
1．心理的な抵抗感
買い手にとって、事故物件は心理的な抵抗感や嫌悪感があるため、購入を躊躇する傾向があります。
特に、孤独死や殺人事件などが発生した物件は、以下の理由から敬遠されがちです。
死や不幸を連想させる
心理的瑕疵の中でも、特に人の死に関わる物件は、買い手に死や不幸を連想させ、強い嫌悪感や恐怖感を与えます。特に、自殺や他殺などが発生した物件は、忌まわしい記憶や負のエネルギーが残っていると感じ、住むことに抵抗を感じる人が多いようです。
衛生面への不安
孤独死や特殊清掃が必要となった物件は、衛生面での不安を抱かせる可能性があります。死体遺棄や動物の死骸など、目に見えない汚れや臭いが残っているのではないか、感染症のリスクがあるのではないか、といった不安が購入を躊躇させます。
周囲からの偏見や差別
事故物件に住んでいることが周囲に知られることを恐れる人もいます。偏見や差別を受けたり、周囲から変な目で見られたりするのではないか、という不安が、購入を躊躇させる要因となります。
心理的瑕疵は、買い手の心理的な負担が大きく、購入を躊躇させる要因となります。
2．告知義務
事故物件を売却する場合、売主や仲介業者は「宅地建物取引業法」に基づいて、買主に対して事故の事実を告知する義務があります。
告知義務の内容
- 事故の種類（孤独死、自殺、殺人など）
- 事故発生時期
- 事故発生場所（リビング、浴室、クローゼット内など）
- 事故の状況
- 特殊清掃の有無
告知方法
告知方法は、書面と口頭で行う必要があります。
書面は、重要事項説明書に記載するのが一般的です。口頭での説明は、内覧時に行うのが一般的です。
告知時期
告知は、買主が契約を締結する前にしなければなりません。
- 重要事項説明書の交付時
- 内覧時
告知義務があるため、どうしても事故物件であることを知られてしまい、売れにくいということです。
事故物件を売却する方法
上記の理由から、確かに事故物件は売却が難しいと言われています。しかし、いくつかの方法を講じることで、売却の可能性を高めることができます。
1．事故の内容を正直に告知する
事故物件を売却するためには、まず事故の内容を正直に告知することが重要です。
事故の種類、発生時期、状況、清掃状況などを詳細に告知することで、買主の不安を軽減することができます。
告知義務を怠った場合は、後でトラブルになる可能性があります。
信頼関係の構築のためにも必ず守るようにしましょう。
2．心理的な抵抗感を軽減する
事故物件であっても、清潔感があり、住み心地の良い状態であれば、買主が見つかりやすくなります。
そのため、売却前に以下の点に注意して物件の状態を整備しましょう。
- 清掃: 事故現場となった場所を中心に、徹底的に清掃を行います。
- リフォーム: 汚損や破損箇所を修繕し、必要に応じてリフォームを行います。
- 除霊: 心理的な負担を軽減するために、除霊を行う人もいます。
必ずしも売却を成功させることを保証するものではありません。
リフォームや特殊清掃などには費用がかさむため、事前に十分な検討が必要です
3．売却相場を踏まえた適切な価格設定
事故物件は、通常の物件よりも売却相場が低くなります。場合によっては、半値以下で売却せざるを得ないこともあります。
この心理的な値引き幅を考慮せずに価格設定してしまうと、売却活動が長期化してしまう可能性があります。
一般的には、通常の物件よりも10～50％程度低く設定するのが目安となります。
値引き率は以下の要素によって変動します。
事故の種類
自然死や孤独死よりも、自殺や他殺の方が心理的な抵抗感が強く、価格が低くなります。
事故物件の売却相場は、以下のようになります。
| 自然死 | 10～20％引き |
|---|---|
| 自殺 | 20～30％引き |
| 他殺（殺人） | 30～50％引き |
事故発生時期
事故から時間が経過するほど、心理的な抵抗感は薄れ、価格が高くなる傾向があります。
物件の状態
事故によって建物や設備が損壊している場合は、その修繕費用相当額の値引きが必要となります。
事故物件の適正な価格設定はかなり難しいです。
周辺の相場、事故の内容、発生時期、その他諸々を加味する必要があるためです。
事故物件の売却でよくある質問
事故物件の買取でよくある質問をみていきます。
事故物件の告知義務に時効はある？
賃貸では「原則3年」とされていますが、売買の場合はとくに記載がありません。つまり、事故物件の売買では「告知義務の時効はなし」となります。 建物を解体して更地にした場合も、告知義務は継続されます。
（参照元：「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を策定しました｜国土交通省）
事故物件は更地にしたほうがいい？
事故物件の建物を取り壊して更地にすることで、建物が残った状態よりは需要が増加するでしょう。
「建物が無いならそこまで気にならない」という人が一定数存在するため、更地にしたほうが売却価格が上昇する可能性があります。
印象的な事件が発生した場所など、なかなか近隣住民からのイメージが払拭できない場合は、駐車場やコインパーキングなどで一定期間賃貸し、ある程度の年数が経ってイメージが改善したタイミングで売却を図る選択肢もあります。
注意点は、解体費用がかかることと、更地にしても告知義務は無くならないことです。自己判断での更地化はリスクを伴いますので、不動産業者とよく相談することをおすすめします。
住宅ローンが残っていても売却できる？
買取可能な業者が存在します。ローンの残高によっては買取より仲介をすすめられる場合もあるでしょう。まずは不動産業者へ相談してみましょう。
特殊清掃や遺品整理も業者へ依頼できる？
昨今は、事故物件の買取に対応した不動産業者が増えているため、業者によっては特殊清掃や遺品整理に対応可能です。
当社は事故物件の売却とあわせて、特殊清掃や遺品整理のご相談も承ります。
お困りの際は、まずはご相談ください！
事故物件の売却は、専門の買取業者がおすすめ！
事故物件の売却は、通常の物件の売却よりも難易度が高くなります。そのため、事故物件の売却に精通した不動産会社に相談することをおすすめします。
専門の買取業者のメリット
早く売却できる
専門の買取業者は、独自のネットワークやノウハウを活用して、迅速に買い手を見つけることができます。
仲介ではなく直接買取が可能な業者なら、さらに早く売却でき、仲介手数料も不要となります。
手間がかからない
専門の買取業者に依頼すれば、物件の調査、査定、契約手続きなどをすべて任せられるため、手間を省くことができます。
トラブルを回避できる
専門業者は、事故物件の売却に関するトラブルに精通しているため、トラブルを回避することができます。
事故物件の売買は、ただ売れない可能性だけでなく、手続きの煩雑さ、売買時トラブルの可能性も内包しています。
そのため、専門の買取業者に依頼することをおすすめします。
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