空き家バンクは、空き家物件の情報を地方公共団体のウェブサイト上などで提供する仕組みです。
空き家の所有者が登録した情報を、購入・賃貸を希望する人々に提供し、空き家の流通を促して地域の活性化を図ることを目的としています。
低コストでの物件取得や補助金制度の利用といったメリットがある一方で、売り手が見つかるとは限らないなどのデメリットも存在します。
本記事では、空き家バンクの仕組み・メリット・デメリットから登録の流れまで解説します。ぜひ参考にしてください。
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空き家バンク制度の仕組み
空き家バンク制度は、自治体が運営する空き家や空き地の情報提供プラットフォームです。
空き家の所有者と、購入・賃貸の希望者をマッチングし、地域活性化や空き家問題の解決を目指しています。
利用のおおまかな流れとしては、所有者が物件を登録し、自治体のウェブサイトで公開されます。
利用希望者は希望に近い物件を探し、興味がある場合は提携不動産業者を通じて交渉を行います。
2024年時点で、全国の約7割の自治体が空き家バンク制度を導入しており、地方の人口減少対策として重要な役割を果たしています。
また空き家バンクを経由する物件に対して、リフォーム費用や引越し費用の補助金制度や、移住者の経済的負担を軽減する支援制度を設けている自治体もあります。
一般的な不動産仲介との違い
ネット上で物件を探して、気になる物件があれば運営者に連絡する流れは、一般的な不動産と似ているように思えます。
しかし、実際はいくつかの違いがあります。空き家バンクと不動産仲介のおもな違いは以下のとおりです。
- 物件の宣伝はおこなわない
- 需要が低い物件の方が多い
- 空き家バンク経由の物件に補助金・助成金が出ることがある
空き家バンクは、地域活性化や空き家問題の解消が主な目的で、営利目的ではありません。
そのため、自治体が積極的に広告・宣伝することはありません。
空き家バンクには「不動産の評価が低く取り扱ってもらえなかった」「賃貸するにも住める状態にするためのリフォーム費用が出せない」など、一般的な需要が見込めない物件が多いです。
(だからこそ、マニアックな物件を探している方とマッチングする可能性はあります)
また、一般的な不動産会社と異なり、空き家バンク経由で売買する物件に対して助成金が出る場合があります。
空き家バンクを利用するメリット
空き家バンクを利用するメリットを、空き家の所有者(売り手)と買い手・借り手の場合でそれぞれ解説します。
売り手のメリット
- 無料での物件情報掲載
- 資産価値が低い物件も掲載できる
- 補助金・助成金が受けられる場合がある
- 特集コンテンツが用意される場合がある
空き家の所有者(売り手)にとっての1番のメリットは、物件を無料でウェブ上に掲載できることです。
利用登録ができれば、物件の資産価値が低くても掲載可能です。
また、地域によっては「古民家物件特集」「テレワーク物件特集」など、物件エリアの特徴に沿った特集がウェブサイト上で組まれ、買い手・借り手の意欲を向上してくれます。
(参考:『アットホーム 空き家バンク』のご案内(PDF)|国土交通省)
買い手・借り手のメリット
- 気軽に無料で物件情報を閲覧できる
- 不動産会社より安価に購入できる傾向にある
- 他にはない物件を見つけられる可能性がある
買い手・借り手は、空き家バンクを閲覧することで、ほかの不動産会社には掲載されていない物件を見つけられます。
不動産としての価値が低い物件は、一般的な不動産会社からは流通しにくい傾向にありますが、空き家バンクなら掲載されているかもしれません。
「手付かずの空き家が欲しい」「マニアックな物件を探している」といった方は、空き家バンクで思わぬお宝物件に遭遇できるかもしれません。
空き家バンクを利用するデメリット
空き家バンクならではのメリットがあることを紹介しましたが、反対に空き家バンクにはデメリットもあることを把握しておきましょう。
売り手のデメリット
- 広告・宣伝をしてもらえないため、買い手が見つかりにくいことがある
- 空き家を修繕してから売り出す場合、その費用は自費になる
- 交渉・トラブル対応も自分で行うことになる
空き家バンクは、あくまで物件の情報を掲載する場所です。
不動産業者のように、物件の宣伝をしてくれるわけではないため、掲載したからといってすぐに買い手・借り手が見つかるとは限りません。
また、自治体はマッチング後のやりとりには介入しないため、交渉やトラブル対応も自らおこなう必要があります。
買い手・借り手のデメリット
- 空き家の所有者との直接交渉が必要な場合がある
- 詳しい物件情報は現地で確認する場合がある
- 都心部は物件が少なく見つかりにくい
自治体は不動産の仲介業ができないため、サポートするのは連絡の調整までです。
そのため、物件の所有者と直接交渉をする必要があります。物件の詳しい情報が空き家バンクに掲載されていない場合、購入前に現地に赴き、内観や周辺環境を確認することになります。
また、都市部やその周辺は空き家バンクに登録しなくても売れる可能性が高いため、空き家バンクでは見つかりにくいでしょう。
空き家バンクの登録条件
空き家バンクのおもな登録条件は、以下のとおりです。
- 市税を滞納していないこと
- 登録者が物件の所有者であること
- 登録時に、不動産業者と媒介契約を結んでいないこと
- 登録する物件が建築基準法に違反していないこと
- 基本的に居住用の一戸建てや店舗併用住宅が対象。集合住宅や事務所は対象外の場合が多い
(参考:空き家・空き地バンク導入のポイント(PDF)|国土交通省 不動産・建設経済局)
空き家バンクの登録手続き・流れ
空き家バンクを利用する際の大まかな流れは以下のとおりです。
- STEP1申請空き家(空き地)があるエリアの自治体で空き家バンクの利用登録を申請
- STEP2情報を掲載問題がなければ登録完了。自治体の窓口やウェブサイト上で空き家の情報を掲載できる
- STEP3購入・賃借希望者が現れる
- STEP4協議・物件確認自治体と提携の不動産業者のもと協議・物件確認をしたのち、購入・賃借希望者が物件を確認
- STEP5契約手続き購入・賃借希望者に契約の意思があれば、手続きに進む
自治体は3までサポートしてくれます。そのあとは、自治体と提携している不動産業者が、手続きや日程調整、契約時の仲介などを行います。
空き家バンクを利用すれば使える補助金がある
空き家バンク経由で契約を交わした際に、補助金が出る自治体があります。 購入者向けの制度が中心ですが、売り手が受けられる制度もあります。
例)大阪府高石市の空き家バンク補助金
大阪府高石市の空き家バンク経由で売買・賃貸借契約が成立した場合、以下のような補助制度が受けられます。
- 不用品の撤去にかかる費用を、売り手に最大5万円補助
- 賃貸借契約が成立した場合、借主の仲介手数料を最大5万円補助
- 買い手に対して、リフォーム費用を最大30万円補助
- 買い手に対して、登記費用・仲介手数料・引っ越しにかかる費用を最大20万円補助
(参考:空き家対策補助制度|高石市)
例)大阪府豊能町の空き家バンク補助金
豊能町空き家バンクに登録されている空き家の購入者は、3年以上継続して住むことを条件として、以下の補助金が受けられます。
- 買い手に対して、購入した物件のリフォーム工事にかかる費用の2分の1(最大30万円)を補助
(参考:豊能町空き家バンク活用促進事業「リフォーム工事補助金」のお知らせ|豊能町)
【現実】空き家バンクで売れないケースは多い
多くの売り手は「空き家バンクに登録したけど、いつまでたっても売れない」という悩みを経験しています。
空き家バンクに登録しても、需要がない物件はなかなか買い手がつきません。実際に売れるのは2割程度といわれます。 空き家バンクで売れない理由で多いのは以下のようなケースです。
価格設定が高い
「少しでも高く売りたい」と売り手が思うのは自然なことです。しかし、空き家バンクの利用者は、安い掘り出し物件を探しています。
適切な価格設定は非常に重要であり、相場より高すぎると購入希望者を遠ざけてしまいます。
物件が古い・管理状態が悪い
空き家バンクの利用者は新築を探しているわけではないので、ある程度は家が古くても許容範囲でしょう。
しかし、買い手は細かいところもチェックするため、管理や掃除が行き届いていないと感じれば、購入意欲が薄れてしまいます。
とくに水回りや壁・床の状態には注意しましょう。リフォームを行なっている場合は、綺麗にしたことが伝わる写真を撮影・掲載しましょう。
掲載写真に魅力がない
買い手が空き家バンクの家の購入を検討する前に細かくチェックする内容の1つが「物件の写真」です。
魅力的に見える写真でないと、物件の良さが伝わらないどころかマイナス印象になる可能性もあります。
成約済みの物件のページや、大手物件サイトの写真を参考にしてみましょう。
エリアの需要がない
交通の利便性が低かったり、店・学校・病院などが近くになかったりする場合、物件の状態というよりエリア自体に人気がなくて売れにくいことが考えられます。
この場合、空き家バンクよりも、そのエリアに強い不動産会社や、空き家・訳あり物件に強い不動産会社に依頼する方が売却できる可能性が高いでしょう。
物件のエリアが問題で売れにくいと感じた場合は、一般の方以外にも広い販路を持ってる不動産業者へ相談するのがおすすめやで。
スピーディな売却を求める場合は不動産業者への依頼が良いケースもある
空き家を早く売りたい場合は、不動産会社へ売却相談をするほうが良い場合もあります。
売却の可能性を上げるために、不動産会社への相談も検討することをおすすめします。
比較的新しい家・立地が良い家は仲介業者へ
築年数が20年未満で建物に価値がつく可能性がある場合や、利便性が高く人気のエリアの物件は、仲介業者への依頼を検討しましょう。
上記のような物件は買い手が見つかりやすく、相場に近い価格で売れる可能性があります。
築古・利便性が低いエリアは買取業者へ
築年数が古く老朽化した空き家や、利便性が低く需要が少ないエリアの空き家は、仲介業者に依頼してもなかなか買い手が見つからないことがあります。
このような物件は、空き家の売買を積極的に取り扱っている買取業者へ相談してみましょう。
買取業者は、空き家にリフォームを施して綺麗にしてから再販・活用するノウハウを保有しているため、積極的に買い取ってくれます。
また、買取業者へ直接売るため、仲介のように買い手を探す必要がなく、スピーディな売却が可能です。
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まとめ
本記事のまとめです。
- 空き家バンクは、所有している空き家の情報を無料で掲載できる。
- 自治体が運営しているため安心感があり、他では見つからない物件が見つかる可能性がある。
- 自治体は物件の宣伝はしてくれないほか、交渉・契約・トラブル対応は自ら解決しなければならない。(不動産に依頼も可能)
- 空き家バンクで売れない場合は、家そのものやエリアの需要が無い可能性がある。その場合は不動産業者へ相談した方が売却の可能性は高まる。
空き家の買取業者への直接売却もご検討ください
今回ご紹介したように、空き家バンクに掲載しても必ず買い手・借り手がみつかるわけではないという注意点があります。
下記のようなお悩みをお持ちの方は「お困り空き家買取くん」へぜひご相談ください。
- 空き家を手放したいが、築年数が古いので売れるか不安
- 空き家になった実家に残っている家財を片付ける余裕がない
- すでに空き家バンクの活用や不動産への相談をおこなっているが、売却に結びつかない
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