親が亡くなって実家を相続する際、その家が誰も住まない「空き家」になってしまうと、残されたご家族には建物の管理や固定資産税の支払いといった負担が発生します。
特に「家がボロボロで住めない」「親に借金があったかもしれない」といったご事情がある場合、「いっそ相続放棄をした方が楽なのでは?」と悩まれる方も少なくありません。
しかし、相続放棄はメリットばかりではなく、実は放棄した後も管理責任や費用が発生するケースがあるため、慎重な判断が必要になります。
この記事では、相続放棄した場合のルールや、メリット・デメリット、そして「空き家を放棄せずに現状のまま手放す方法」について分かりやすく解説します。
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「実家」の相続でよくある悩みと背景
親が亡くなり誰も住まなくなった実家を相続すると、草刈りや修繕といった管理の手間だけでなく、毎年の固定資産税もかかり続けます。
特に「家が古くて買い手がつきそうにない」「親に借金などのマイナス財産があった」といった場合、不動産と一緒に負債や重荷を背負うことになるため、相続放棄を検討されるのは自然なことです。
しかし、相続放棄は一度手続きをすると原則として取り消しができない手段でもあります。
後悔しないためにも、まずは相続放棄の仕組みを正しく理解し、負担なく手放すための他の解決策としっかり比べてみることが大切です。
空き家状態の実家は相続放棄できる?
結論からお伝えすると、空き家となった実家を相続放棄することは可能です。
ただし、相続放棄のルールとして「家だけを放棄して、預貯金はもらう」というような都合の良い選択はできず、借金などのマイナス資産も預貯金などのプラス資産も含めて、「すべての遺産を手放す」ことになります。
そのため、一般的には「親の残した預貯金(プラス)よりも、家の解体費用や借金(マイナス)の方が明らかに大きい」と判断した場合に、相続放棄を選ぶケースが多くなります。
例えば、親の預金が数千万円あるのに、古い空き家があるからといって相続放棄してしまうと、その数千万円も受け取れなくなってしまうから、全体のバランスを見て決めるのが大事やで。
空き家状態の実家を相続放棄するメリット
まずは、空き家を相続放棄することで得られるメリットを見ていきましょう。
不要な財産や借金を手放すことができる
相続放棄をすれば、扱いに困る空き家はもちろん、親が残した借金などのマイナス財産もすべて放棄できます。
今後一切、親の借金の返済を迫られることはなくなりますし、将来的に活用する予定のない不動産を押し付けられることもなくなります。
固定資産税の支払いが不要になる
相続放棄をすると、法律上「初めから相続人ではなかった」という扱いになります。
そのため、誰も住んでいない空き家であっても毎年かかり続ける固定資産税や都市計画税を、ご自身が支払う義務はなくなります。
空き家の「将来の心配」から解放される
空き家を所有していると、「いつか売れるだろうか」「台風で屋根が飛んで近所に迷惑をかけないだろうか」といった心理的な不安が常につきまといます。
相続放棄をして不動産を手放せば、そうした売却や維持管理に関するストレスから解放されるという点も、大きなメリットと言えます。
他の相続人との争いから離れられる
兄弟や親族の間で遺産の分け方について揉めている場合、相続放棄をして遺産相続の枠組みから完全に抜け出すことで、親族間の争いに巻き込まれずに済むという側面もあります。
実家の空き家を相続放棄しても「管理責任」は残る?
「相続放棄をすれば、明日から実家のことは一切気にしなくていい」と考えられがちですが、実はここが一番の注意点です。
法律上、条件によっては相続放棄をした後も実家の「管理義務」が残ってしまうケースがあります。
2023年(令和5年)4月の民法改正により、相続放棄をした人に管理義務が残る条件が明確になり、「現に占有している(げんにせんゆうしている)者」に限定されました。
「現に占有している」とは?
- 親が亡くなった時、その実家に同居していた
- 実家の鍵を自分が持っていて、自分の荷物をたくさん置いている
- 自分が主体となって実家の管理や草刈りなどを続けている
つまり、すでに別の場所で独立して暮らしており、実家の鍵も管理もしていない人が相続放棄をした場合は、管理責任を問われることはありません。
逆に言えば、親と同居していた実家を相続放棄した場合などは「現に占有している」とみなされ、次の相続人や後述する「清算人」に家を引き渡すまでの間、建物の倒壊や近隣トラブルを防ぐための管理を続ける義務(保存義務)が残ってしまいます。
相続人が全員、相続放棄したらどうなる?
親の借金が多かったり、家がボロボロだったりすると、子どもだけでなく、次順位の相続人(親の兄弟姉妹など)も全員が相続放棄をするケースがあります。
相続人が全員相続放棄をすると、誰もその実家を引き継ぐ人がいなくなってしまいます。
しかし、家自体が消えてなくなるわけではないため、この状態を法的に終わらせるには、家庭裁判所に「相続財産清算人」という財産管理のプロを選任してもらう手続きが必要になります。
※相続財産清算人:本来の相続人に代わって財産を管理・処分する人(主に地域の弁護士や司法書士が選ばれます)。家を売却したりして借金を清算し、最終的に残った財産を国へ引き渡す手続きをおこないます。
【要注意】相続財産清算人の選任には高額な費用がかかる
相続放棄をした後、全員が放棄した実家の管理義務から完全に逃れるために「相続財産清算人」を選任してもらう場合、実は申し立てる側(相続放棄をした人)に高額な費用負担が発生します。
予納金(清算人の活動費用の前払い)
相続財産清算人(弁護士など)の報酬や、家の解体・管理にかかる費用の財源として、家庭裁判所に「予納金」を納める必要があります。
親の遺産の中に十分な現金が残っていれば予納金は少なくて済みますが、現金がなくボロボロの空き家だけが残っているような場合、おおよそ数十万円〜100万円程度の予納金を、申し立てるご自身が自腹で納めなければならないケースが多いです。
「お金をかけたくないから相続放棄をしたのに、結果的に100万円近くの予納金を払うことになってしまった」というケースは実務上とても多いため、全員が放棄しそうな空き家については慎重に判断する必要があります。
空き家の相続放棄をする際に気をつけたいこと
ここまでの内容も踏まえ、相続放棄を検討する際の重要な注意点をまとめました。
預貯金などプラスの財産もすべて相続できなくなる
繰り返しになりますが、相続放棄をすると、親が残してくれた預金や現金、有価証券などのプラスの財産も一切受け取ることができなくなります。
「家の解体費用」と「残された預貯金」を天秤にかけ、解体費用を払ってでも手元にお金が残る(プラスになる)のであれば、相続して解体・売却をした方が結果的にお得になるケースも多いです。
他に相続人がいる場合、事前に伝えておく
ご自身が相続放棄をしたからといって、その家が国のものになるわけではありません。ご自身が放棄すると、法律で決められた順位に従って、別の親族へ相続の権利が移っていきます。
- 第1順位:子ども(代襲相続があれば孫)
- 第2順位:親(祖父母)
- 第3順位:兄弟姉妹(代襲相続があれば甥・姪)
手続き上、他の親族の同意は不要ですが、ご自身が黙って放棄をした結果、親戚のおじさんや甥っ子に突然「空き家と借金」の相続権が押し付けられることになります。
後々の親族間トラブルを避けるためにも、相続放棄をする場合は事前に「自分は放棄することにしたよ」と伝えておくのが最低限のマナーと言えます。

手続きには「3カ月」という厳格な期限がある
相続放棄は、「自分が相続人になったことを知った日(通常は親が亡くなった日)から3カ月以内」に家庭裁判所へ書類を提出して手続きしなければなりません。
親の借金を調べたり、家の価値を調べたりしていると、3カ月はあっという間に過ぎてしまいます。
どうしても調査が終わらない場合は、期限が切れる前に家庭裁判所へ「期間伸長の申し立て」をおこなうことで期限を延ばしてもらうことができます。
手続きが受理されると、原則として撤回できない
家庭裁判所で相続放棄が受理されると、後から「やっぱり預金がたくさんあることが分かったから放棄を取り消したい」と思っても、原則として撤回することはできません。
例外的に取り消しが認められるのは、「脅されて無理やり放棄させられた」「未成年が親の同意なく放棄した」といったごく限られたケースのみです。
相続放棄するか悩んだら専門家に相談を
「借金があるかどうかも分からない」「家がいくらで売れるのか見当もつかない」と悩んでいるうちに、3カ月の期限が迫ってきてしまうことはよくあります。
もし迷われている場合は、早めに弁護士や司法書士などの専門家に相談してみることをおすすめします。
- 親の借金や預貯金がどれくらいあるかの調査をサポートしてくれる
- 期限の3カ月が過ぎてしまいそうな時に、延長の手続きをおこなってくれる
- もし期限を過ぎてから親の借金が発覚した場合でも、事情を説明して放棄が認められるようサポートしてくれる
まとめ:相続財産をしっかり把握して慎重な判断を
空き家になった実家を相続放棄する場合、以下の点に気をつけて判断することが大切です。
- 相続放棄をすれば、空き家の固定資産税や親の借金を払う必要はなくなる。
- 一方で、残された預貯金などのプラスの財産もすべて受け取れなくなる。
- 同居していた場合など、「現に占有している」状態だと、放棄した後も家の管理義務が残る。
- 全員が放棄した場合、「相続財産清算人」を選ぶために数十万円〜100万円の費用(予納金)を自腹で払わなければならないケースがある。
「古い家だから」とすぐに放棄を決めてしまうのではなく、まずは「もしこのまま相続して売却(買取)に出したら、手元にいくら残るのか」を不動産会社に確認してから判断するのが、最も損をしない賢い手順です。
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もし、亡くなった親御さんに借金がない(または少ない)のであれば、相続放棄をして高額な予納金を払うよりも、相続をしてそのまま不動産会社に買い取ってもらう方が、結果的にお客様の手元にお金が残る(プラスになる)ケースが非常に多いです。
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- ボロボロの空き家でも大歓迎:雨漏りやシロアリ被害がある「訳あり物件」でも、自社の再生ノウハウを活かして積極的に買い取ります。
- 解体費用などの持ち出しゼロ:売却にあたって、事前の修繕や解体費用をお客様に負担していただくことは一切ありません。
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