全国で空き家はおよそ800万戸もあり、この20年間で空き家の数は2倍に増えていると言われています。
「空き家になった実家を処分したい」「相続した空き家を売却したい」という希望をお持ちの方も多いと思います。
本記事では、空き家を売却するにあたって価格相場を調べる方法について解説します。 売却を検討する際に知っておくべき不動産用語も分かりやすく説明します!
空き家の売却価格の相場を調べる方法
空き家の売却価格相場を調べるにはいくつかの方法があります。それぞれのメリット・デメリットを紹介します。
1.インターネットで探す
空き家の売却価格相場を調べるにあたっては、インターネット上のサイトを活用するのが最も手間も時間もかからない方法でしょう。
例えば、不動産ポータルサイトで「大阪市○○区」とエリアを指定して、表示される売却中の物件を確認する方法です。
自分の物件と同じ地域で、規模・築年数が近い中古住宅の市場価格を調べることがスタートです。いくつかのサイトは物件の統計から価格相場を示しています。
空き家の査定では、大きさや築年数以外にも立地や交通の便など多くの要素が価格を左右しますが、相場の大まかな把握にはこの方法が効果的です。
そこから、さらに詳しい価格相場を知りたい場合は、国土交通省の「不動産情報ライブラリ」が役立ちます。国や自治体が公表する信頼性の高い「公示地価」情報を得られます。
さらに、指定エリアの実際の取引価格も検索可能で自分の空き家がある地域の相場を把握できます。
2.不動産業者に依頼する
空き家の売却価格相場を調べる最も基本的な方法は、地元の不動産業者に相談することです。
長年その地域で営業している不動産業者なら、空き家の市場価格や購入希望者の有無について詳しい情報を持っているでしょう。
しかし、不動産業者は仲介手数料を収入源としているため、売却意向が明確でないと相談がしにくい場合があります。また、リフォームをして価値を高めるような具体的な戦略については対応できない可能性があります。
3.買取業者に依頼する
不動産会社からの査定額に満足できない・買取を断られた場合は「買取再販業者」が選択肢となります。
この業者は、不動産を所有者から直接購入し、自らが売主となって販売します。
買取再販業者の主な特徴は、買い取った空き家をリフォームや改修して再販することにあります。そのため、老朽化や再建築不可能などの問題を抱える物件でも、買取を検討してくれる可能性が高いです。
買取なら買取業者がおすすめ! 対応が早いだけでなく、仲介手数料が不要であったり、残置物の撤去が不要な場合も多いです。
空き家の査定価格が決める要因
空き家売却の買取価格は、さまざまな要因を複合して算出されます。
ここでは相場価格を左右する要因についてまとめてみます。
1.土地の要因
空き家の評価では、土地の面積や用途地域に加え、利便性が大きく影響します。
都市部では、駅やバス停までの距離が短いほど評価が上がります。一方、自動車移動が主流の地方都市では、幹線道路へのアクセスの良さが重視されます。
また、医療施設やスーパーマーケットなど生活便利施設の近さは、空き家の価格を引き上げる要因です。子育てファミリーにとっては、学校への距離も重要な評価ポイントになります。
2.建物の要因
空き家の建物評価は、建物構造と面積・築年数でおおよその相場が分かります。とくに、建物構造は法定耐用年数が違うことにも注意が必要です。
例えば、木造住宅の法定耐用年数は22年であり、築22年以上経過している物件の場合は税制上の価値はゼロとなります。
鉄骨造の法定耐用年数は27〜34年、鉄筋コンクリート造は47年となっており、同じ築年数でも同じ築年数でも構造によって評価額が変わります。
税制上の家屋の評価は、下記の計算式による「減価償却費」を購入価格から毎年引いていくことにより算出します。
3.木造住宅の評価価格推移
新築時取得価額が2,000万円・3,000万円・4,000万円の3パターンの木造住宅で築年数による評価価格の推移を計算してみました。
木造住宅の評価額 | |||
---|---|---|---|
築0年 | 2,000万円 | 3,000万円 | 4,000万円 |
築1年 | 1,908万円 | 2,862万円 | 3,816万円 |
築2年 | 1,816万円 | 2,724万円 | 3,632万円 |
築3年 | 1,724万円 | 2,586万円 | 3,448万円 |
築4年 | 1,632万円 | 2,448万円 | 3,264万円 |
築5年 | 1,540万円 | 2,310万円 | 3,080万円 |
築6年 | 1,448万円 | 2,172万円 | 2,896万円 |
築7年 | 1,356万円 | 2,034万円 | 2,712万円 |
築8年 | 1,264万円 | 1,896万円 | 2,528万円 |
築9年 | 1,172万円 | 1,758万円 | 2,344万円 |
築10年 | 1,080万円 | 1,620万円 | 2,160万円 |
築11年 | 988万円 | 1,482万円 | 1,976万円 |
築12年 | 896万円 | 1,344万円 | 1,792万円 |
築13年 | 804万円 | 1,206万円 | 1,608万円 |
築14年 | 712万円 | 1,068万円 | 1,424万円 |
築15年 | 620万円 | 930万円 | 1,240万円 |
築16年 | 528万円 | 792万円 | 1,056万円 |
築17年 | 436万円 | 654万円 | 872万円 |
築18年 | 344万円 | 516万円 | 688万円 |
築19年 | 252万円 | 378万円 | 504万円 |
築20年 | 160万円 | 240万円 | 320万円 |
築21年 | 68万円 | 102万円 | 136万円 |
築22年 | 1万円 | 1万円 | 1万円 |
また、不動産所有者に毎年送付される「固定資産税納税通知書」内の「課税明細書」で税制上の評価を確認することも可能です。空き家売却の交渉においては、取引における最低価格として頭の中に入れておくとよいでしょう。
空き家売却の取引相場は税制上の評価で決まる訳ではありませんが、おおよその参考になるでしょう。
4.その他の要因
空き家物件あるいはその周辺の「心理的瑕疵」の有無も評価のポイントになります。
自殺や孤独死、何らかの事件が発生した物件は敬遠されますし、周辺に墓地や廃棄物処分場、騒音施設などがあるケースも相場価格より下がる可能性があります。
空き家売却の際に知っておくべき用語
不動産業界では特有の専門用語が多くあります。
不動産サイトを確認したり、業者と交渉する上で知っておくべき用語とその意味について解説しておきます。
㎡と坪
土地や建物の取引にあたって、面積単位として㎡(平方メートル)と坪が使用されます。
「坪(ツボ)」は日本の伝統的な面積単位であり、1坪はおよそ畳2枚分に相当します。
㎡から坪に換算する場合は、「㎡ × 0.3025 = 坪数」で計算します。
例えば、60㎡の場合 「60 × 0.3025 = 18.15坪」 となります。
土地の権利
土地の権利には「所有権」と「借地権」の二つがあります。
自身に所有権のある土地に空き家がある場合は問題ありませんが、借地権の場合は注意が必要です。
借地権には「普通借地権」と「定期借地権」があり、普通借地権では最低30年の権利存続期間が保証され、更新も可能です。
一方、定期借地権は建築用の場合50年で定められ、期間終了後の更新ができず、土地を所有者に返還することになります。
借地権が付いた空き家も売却可能ですが、査定額に大きく影響します。
二面接道と角地
「二面接道」とは、土地が2本の道路に面している土地のことで、一般的に査定で高く評価されます。とくに、道路交差点に面した「角地(かどち)」は、日当たりや風通しが良く、快適な生活環境が期待できるため、さらに価値が高まります。
再建築不可
「再建不可」は、建築基準法の接道義務を満たしておらず、建物を建て替えることができない土地です。
土地に建物を建てる際には、幅2メートル以上の道路に面している必要があります。これは、消防車などの緊急車両が建物に近づくために必要な道路幅であり、防災の観点から法律で規定されています。
2メートル未満の接道しかない「再建築不可」に建てられた空き家は、建て替えができない土地であるため、一般的に土地の査定評価は大きく低下します。
市街化区域/市街化調整区域
都市計画法に基づき、土地は「市街化区域」と「市街化調整区域」に分類されます。
市街化区域は都市の発展を促す地域、市街化調整区域は自然環境や農地を保護して建築を制限する地域です。
市街化調整区域では、下水道などのインフラの未整備や、用途変更や建て替えが困難などの課題もあり、空き家が市街化調整区域内にある場合、相場より低い査定評価となる場合が多いです。
用途地域
市街化区域は、そこに建築が可能な建物の用途や規模により「用途地域」として細分化されています。
現在、適用されている用途地域は下記の13種類です。
- 第一種低層住居専用地域
- 第二種低層住居専用地域
- 第一種中高層住居専用地域
- 第二種中高層住居専用地域
- 第一種住居地域
- 第二種住居地域
- 準住居地域
- 田園住居地域
- 近隣商業地域
- 商業地域
- 準工業地域
- 工業地域
- 工業専用地域
このうち工業専用地域以外は住宅の建築が可能です。
空き家の立地が「近隣商業地域」「商業地域」「準工業地域」の場合は建築可能な建物の用途と大きさの制限が緩くなり、将来的な再開発を見越した評価がされて相場よりも高い金額で売却が可能なケースもあります。
なお、市街化調整区域には用途地域の指定がありません。
建ぺい率・容積率
「建ぺい率」と「容積率」は、その土地に建築可能な建物の大きさを決定する重要な指標で、地域ごとに自治体により定められています。
建ぺい率
建ぺい率は、土地の敷地面積に対する建築面積の割合を指します。建築面積は基本的に建物の1階部分の面積、つまり上空から建物を見たときの建物の占める面積です。
容積率
容積率は、建物全体の延床面積(全階の面積の合計)を土地の面積で割った割合で、建物の総体積を表します。通常、建ぺい率と容積率が高いほど、再建築時の制限が少なく査定評価が高くなります。
建築可能な面積の計算方法
例えば、200平方メートルの土地で「建ぺい率60%、容積率200%」の場合、どのような建物が建築可能か次のように計算されます。
200㎡ × 200% = 400㎡(延床面積)
この土地の場合は、最大建築面積が120㎡(約36.3坪)、最大延床面積が400㎡(約121坪)の建物を建築することが可能だとわかります。
実際には、接する道路の幅や建物の構造等による建物規模の制限もあるため、この最大限の数字通りに建築が可能な訳ではありませんが、その土地のポテンシャルを計るうえで参考になるでしょう。
空き家の売却は買取専門店へ相談
空き家を売却する際には、不動産業者への依頼や物件サイトの利用が一般的な方法ですが、買取業者への依頼も一つの選択肢です。
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